さいきんの流星光
元漫画家 流星光(ながれぼしひかる)の雑記ブログ/Amazon商品のアフィリエイト広告があります。
 



 タイトル

『500ページの夢の束』(2018)


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【分類】金の羊毛
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『SAVE THE CAT』とか『ヒーローズジャーニー』とか
いろいろあてはめてみたけど、
結局、その通りのストーリー構成にはなっていなくて難しかったですね。


ようするにこの映画のストーリーは「初めてのお使い」です。


発達障害で感情の制御ができず、
他人とのコミュニケーションに問題がある主人公ウェンディが
夢のために冒険の旅に出る。

そんなお話です。

ここからは、ネタバレになる可能性がありますので、
本編を観ていない方は、本編を観てから読んでいただければと思います。



第一幕「ウェンディの日常」〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

(ウェンディの独白)
光は
目的地に着くまで何百年も旅をする
孤独な旅は続く
出会いを求めて

でも永遠に着かず
家も見つからなかったら?

宇宙は広大で
時間はあまりに長い

そして簡単に行方を見失いやすい

             ★テーマの提示
              ウェンディの心の声
              孤独な旅を続けている。
              出口はいつになったら見えるのか
              とほうもない旅をしているような
              不安な気持ち…
             「この映画は、自分の居場所を持たないウェンディが、
              居場所を見つけて前へ進むお話です」

              という宣言なのかな。

             ★テーマっぽいけど、
              詩的でわかりづらいからテーマじゃないっぽい。



デスクに向かい脚本を書いているウェンディ。


■発達障害者の施設

施設長スコッティ(女性)入って来る。

ウェンディと
スタートレック流の挨拶。

          僕はスタートレックよく知らないのでわかりません。

「来週お姉さんが来る」

日常生活がうまくできないウェンディ。
3秒間他人の目を見る練習。


その通りを絶対に渡ってはいけない。
(ウェンディにとっての世界の境界線)
スタートレックが大好き。


■ウェンディの生まれ育った家

「売り家」の看板がある。

姉夫婦が息子と暮らしている。   ★セットアップ


■施設

テレビを見ているウェンディ。

シナリオのコンクールがあることを知る。 ★きっかけ

壁に募集のはがきを貼る。

書く、書く、書く。
      ★悩みのとき はほぼない。
       ウェンディはこうと決めたら一直線に突き進むタイプ



■職場

スタートレッククイズ勝負をする。

ウェンディが圧勝。


(ウェンディの独白)
  (でありシナリオの地の文でもある)
「よどんだ深淵をのぞき、
 スポックはある物を初めて目にした。
 窓だ。
 別世界への扉。
 幻想でもない、光でもない、ただ感じる。」


■施設

シナリオが完成する。
クリンゴン語 というワード出てくる。

■ウェンディの生家

古いアップライトピアノが通りに出される「ご自由にどうぞ」の張り紙。

              ★ウェンディの帰る家がなくなるという暗示


■施設長スコッティの家

息子はスタートレックに詳しい。


■ウェンディの生家

姉、昔のウェンディのビデオを見て泣く。
「ご自由にどうぞ」のピアノはウェンディとの思いでのピアノだった。

              ★姉妹の心が離れ離れになるのを止められない姉

 

■施設 翌日

家に帰れると思っていたウェンディ、
姉の「家には帰れない」という言葉に逆上。
姉は怒って帰る。

              ★悩みのとき

 

夜。

姉とのことがあってパニックになり、
シナリオを郵送できなかった。

提出期限に間に合わないことを知って
軽いパニックになり涙するウェンディ。

                  ★悩みのとき

 
あきらめ切れないウェンディは、
シナリオを直接持って行くことを決める。     ★第一ターニングポイント

 

LA(ロス・アンジェルス)のパラマウント・ピクチャーズまでの長い道のりは、
ウェンディにとってはとてつもなく複雑で長い旅なのだ。
だが勇気をふりしぼって行く決意をする。  

 


第二幕「冒険の旅」〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

■出発の朝(2月14日)

ウェンディ、早朝に出発。
ピート(犬 チワワ)も同行することになる。

■スコッティの出勤

スコッティ、施設に来てウェンディがいない事に気づく。


■街

絶対に渡ってはいけない通りを渡る。


■バス走る

ピートのせいでバスを降ろされる。      ★困難


■施設

スコッティ、姉にウェンディがいなくなったことを電話する。
スコッティ、壁のシナリオコンクールのハガキに気づく。

 

■道

ピートにエサをあげるウェンディ。


■閉鎖した施設

i-podを盗まれたり苦難の旅はつづく。    ★困難(お楽しみ)


■施設

スコッティはほうぼうへ電話して、
バスを降ろされるまでのウェンディの足取りをつかんだ。

 

■事故

道すがら乗せてもらったケアホームの深夜バス。
ドライバーの居眠り運転により事故を起こす。
ウェンディは軽症。            ★困難(お楽しみ)


■施設

スコッティ、病院に電話。

事故を起こしたバスの乗客の中にウェンディがいると確認。

 


第三幕「原稿を紛失」〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


■病院(翌日の昼)

ウェンディ目を覚ます。
病院を逃げ出す。

階段で医師と衝突してシナリオの束を落として散乱させてしまう。

追われてその場を立ち去るウェンディ。         


                  ★ミッドポイント


スコッティと息子、病院に到着。

息子、シナリオを見てウェンディ作のシナリオだと気づく。


                  ★迫りくる悪いやつら

 

■道


とぼとぼあるくウェンディ。
LAまで移動するお金もないわ
シナリオの一部を紛失したわで、途方にくれているウェンディ。

手元に残ったシナリオの束を取り出してながめる。

                  ★すべてを失って

 

■足りないシナリオは書けばいい

コピーショップの裏の廃棄したコピー用紙があるのを発見し、
その裏に、記憶をたよりに紛失した分のシナリオを書き始める。

                    ★第二ターニングポイント

まだ希望を捨てていないウェンディ。    

 

第四幕「目的の地」〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

■LA到着

何だかんだで、ついにLAまでたどり着くウェンディ。

捜索願いが出ていたので警察に追われる。

 
スタートレックファンの警官がクリンゴン語で話しかける。
そのおかげでウェンディは緊張を解き保護される。


■警察署

ウェンディのシナリオの内容を絶賛する警官。

姉、スコッティ、息子が来る。ピートも。


シナリオを取り戻したウェンディ。
シナリオの出来を絶賛するサム。



■パラマウント・ピクチャーズ   ★フィナーレ

やっとパラマウント・ピクチャーズに到着したウェンディ。

締切まであと15分!

郵便係の男にシナリオは郵送でないと
受け取れないと拒絶される。     ★規則に阻まれる
                  ★敵対する存在の象徴


 

「クソッタレ」
ウェンディは言う。         ★心の暗闇


郵便係が自分の名を知らないのをいいことに
シナリオの封筒を「応募作入れ」に放り込むウェンディ。 ★フィナーレ

 

■帰還

封筒を投函して帰ってくるウェンディ。

ミッションをやりとげて気分がいい。       ★宝を持っての帰還

 

 

■日常

ウェンディのまわりに日常が戻ってきた。

コンクールは残念ながら受賞ならず。

スコッティは、脚本を読んだこと、すばらしい出来であったことをウェンディに告げる。
それに対してウェンディは、しっかりとスッコティの目を見て

「ありがとう」

と告げる。

ウェンディは、人の目を見て話すのがとても苦手だったのに。

 

パラマウントから返事がくる。

「入選にはいたりませんでしたが、
 あなたの才能と努力に敬意を表します。
 どうかこれからも物語を紡ぎ続けてください」

 


■姉からの手紙

「ルビーが会いたがっている」

ルビーの写真も。

 

姉との和解。

明るいであろう未来。      ★ファイナル・イメージ

 

■エンディング


END

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冒頭にも書いたように、この映画は「初めてのお使い」である。

ただ、主人公ウェンディが発達障害者であり、
日常生活を送るのがちょっと苦手な女性なために
何をするにも大変であるとなる。

夢を叶えるためにどうしても「旅」に出る必要があり、
その旅の最中にいろいろあるという内容だ。


そして、ウェンディと姉オードリーは、
この旅を通じてそれぞれ成長し、
最後は、明るい未来へ向かう希望を見出すのであった。


この映画のストーリー構成は、
『SAVE THE CAT』がそのまま当てはまる訳ではないが、
要所でエンセンスが置かれている。

主要登場人物は、
ウェンディの旅にかかわる中で、
それぞれが成長している。

施設長のスコッティは、スター・トレックに詳しくなり、
その息子サムは会話のなかった母親と少し話すようになった。
姉オードリーは障害持つ妹とのつき合い方を知ったようだった。

そしてウェンディも成長した。

 

「迫りくる悪い奴ら」と書いたけど、

この映画に登場するのはi-podと金を盗む若い夫婦以外は

悪い奴らは登場しない。

 

みんながウェンディの事を心配し応援している。

ウェンディの目的の前に立ちはだかる「何か」が

「悪い奴ら」なのだ。

複雑なルール、慣例、法律…。

ウェンディみずからが、「敵」を創り出しているとも言える。


ウェンディのような障害を持った人がいるのは知っている。

この映画を観て、彼らも時間さえかければ、
普通の人のように暮らすことができるようになるのではないかと思った。

ひょっとしたら80歳くらいになったら、
普通のおばあちゃんになっているのだろうかと思った。

 

そして何より、スタートレック愛があふれている!

スタートレックのシナリオコンクールに応募しようとする

ウェンディを、アメリカ中のスタートレックファンが後押し

して助けてあげる。

そんな映画でした。

アメリカ中は大げさだけど…

スタートレックファンが観たら泣いちゃいそうだ。

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「ヒーローズジャーニー」で言うところのメンターはいないけど、
要所要所で助けてくれる人がいる。
・ていねいに教えてくれるバスの運転手
・ケアホームのバスに乗せてくれる老婆
・ピートがスタートレックのユニフォームを着ていると気づく病院の女性職員
・スコッティの息子サム
・スタートレックファンの警官

スタートレックがメンターの役割を果たしているのかも知れない。

以上。

『500ページの夢の束』のストーリー分析と感想でした。

 
※ここまで読んでいただいて、ありがとうございました!


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長文におつきあいくださいまして、
ありがとうございました! <(_ _)>



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