2020年東京五輪が決まったことを受け、日本でのカジノ解禁に強烈な追い風が吹き始めた。観光産業の拡充に迫られる政府が、カジノ構想を推し進める可能性が出てきたのだ。来月には、議員立法の「カジノ関連法案」が臨時国会に提出される見込みで、「早ければ18年にも日本にカジノリゾートが誕生する」という見方や、「経済波及効果は7兆6600億円」とするリポートもある。各方面で商機をつかもうとする動きも活発化しており、期待感は高まるばかりだ。
永田町ではいま、秋の臨時国会での提出が確実視されている、ある法案の行方に注目が集まっている。
特定複合観光施設区域整備推進法案。劇場や国際会議場、ホテルを併設する統合型リゾート「Integrated Resort=IR」の整備を推進するためのもので、別名「IR推進法案」、あるいは「カジノ法案」と呼ばれている。
永田町関係者は「米ラスベガスやマカオなど、海外ではIR型のカジノ施設が主流。法律は、海外と同じようなIRを建設する下地を作るためのものだ。可決されれば、カジノ解禁が一気に加速する」という。
カジノ構想は、02年に当時の石原慎太郎東京都知事がブチ上げてから、省庁間の利害調整などが障害となって、実現への動きは遅々として進まなかった。だが、今回ばかりは「進展がありそうだ」と見る向きが多い。
「法案は、カジノ解禁を目指す超党派の『カジノ議連』が中心になって作られたが、この議連の最高顧問には、安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相ら政権中枢も名前を連ねている。安倍政権はカジノを『成長戦略の目玉のひとつ』と位置づけており、五輪とともにカジノを経済再生の起爆剤にするべく、強力に後押しするはずだ」(同関係者)
夕刊フジで『カジノ式馬券術』を連載し、カジノ議連のアドバイザーも務める作家の松井政就氏は「7年後の東京五輪に伴い、世界スタンダードのカジノの需要が確実に高まる」といい、こう続けた。
「欧米では、競技を賭けの対象にするスポーツブッキングが一般的。競技の勝ち負けを予想するのも、五輪の楽しみのひとつになっている。宿泊施設の拡充が求められる中で、カジノとホテルが一体となったIRの必要性が出てくる。そういう意味では、今回が唯一最大のチャンス。これを逃すとカジノ解禁は難しいと言ってもいい」
こうした流れを見越してか、カジノ関連企業の動きも活発化している。
カジノ運営会社の米ラスベガス・サンズとMGMリゾーツ・インターナショナルは、日本でのカジノ建設に向けて、候補地探しに着手していることを明らかにした。
国内では、ゲーム機メーカーのセガサミーホールディングス(東京都港区)が、韓国・仁川国際空港隣接エリアで、現地企業と協力してカジノを含む複合型施設事業の開発を推進している。日本でのIR事業参入に向けて「運営・開発ノウハウの集積に努めている」(同社広報)という。
人材の育成も始まっている。
04年に開校した日本で唯一のディーラー養成学校「日本カジノスクール」(東京都新宿区)では、これまでに400人の卒業生を輩出し、うち約70人が海外のカジノでディーラーとして活躍しているという。
自らも20年以上、船上カジノなどでディーラーとして活躍していた大岩根成悦校長(43)は「カジノ構想が進まないため、生徒数は年々減少していたが、今年4月から入学希望者が急に増えてきた。東京五輪の開催決定は、カジノ解禁への追い風を感じ始めていた矢先の吉報だった。流れが来ているのを実感する」と話す。
では、日本版カジノができるのは、一体いつごろになるのか。
カジノ議連のメンバーで、東京都議時代からカジノ誘致運動に関わってきた柿沢未途衆院議員は「早ければ18年ごろではないか、法整備を完全に終えるのに2年。施設建設や誘致自治体の選定などに3年として、大体5年だ。あるいは、もっとスピード感を持たせることもできる」と語る。
候補地としては、東京・お台場が最有力で、橋下徹大阪市長が誘致に熱心な大阪・りんくうタウン、沖縄などの地方都市との同時開業もあり得る。柿沢氏はいう。
「2010年に日本より一足早くIR施設を開業したシンガポールは、観光収入が前年比1・5倍アップし、経済成長率14・5%という驚異的な数字も記録した。日本でカジノが実現すれば、これ以上の成果も期待できる。五輪との相乗効果で経済成長の大きな起爆剤となるはずだ」
大阪商業大学の佐和良作教授らの「カジノ開設の経済効果」という論集では、日本でカジノが開設された場合、市場規模は2兆1517億円~3兆4438億円、経済波及効果は4兆7873億円~7兆6619億円、誘発雇用人員は49万1863人~78万7204人と計算している。
アベノミクスの強い推進力となる可能性は高い。東京五輪の祝賀ムードに乗り、関係者らの悲願達成となるか。
永田町ではいま、秋の臨時国会での提出が確実視されている、ある法案の行方に注目が集まっている。
特定複合観光施設区域整備推進法案。劇場や国際会議場、ホテルを併設する統合型リゾート「Integrated Resort=IR」の整備を推進するためのもので、別名「IR推進法案」、あるいは「カジノ法案」と呼ばれている。
永田町関係者は「米ラスベガスやマカオなど、海外ではIR型のカジノ施設が主流。法律は、海外と同じようなIRを建設する下地を作るためのものだ。可決されれば、カジノ解禁が一気に加速する」という。
カジノ構想は、02年に当時の石原慎太郎東京都知事がブチ上げてから、省庁間の利害調整などが障害となって、実現への動きは遅々として進まなかった。だが、今回ばかりは「進展がありそうだ」と見る向きが多い。
「法案は、カジノ解禁を目指す超党派の『カジノ議連』が中心になって作られたが、この議連の最高顧問には、安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相ら政権中枢も名前を連ねている。安倍政権はカジノを『成長戦略の目玉のひとつ』と位置づけており、五輪とともにカジノを経済再生の起爆剤にするべく、強力に後押しするはずだ」(同関係者)
夕刊フジで『カジノ式馬券術』を連載し、カジノ議連のアドバイザーも務める作家の松井政就氏は「7年後の東京五輪に伴い、世界スタンダードのカジノの需要が確実に高まる」といい、こう続けた。
「欧米では、競技を賭けの対象にするスポーツブッキングが一般的。競技の勝ち負けを予想するのも、五輪の楽しみのひとつになっている。宿泊施設の拡充が求められる中で、カジノとホテルが一体となったIRの必要性が出てくる。そういう意味では、今回が唯一最大のチャンス。これを逃すとカジノ解禁は難しいと言ってもいい」
こうした流れを見越してか、カジノ関連企業の動きも活発化している。
カジノ運営会社の米ラスベガス・サンズとMGMリゾーツ・インターナショナルは、日本でのカジノ建設に向けて、候補地探しに着手していることを明らかにした。
国内では、ゲーム機メーカーのセガサミーホールディングス(東京都港区)が、韓国・仁川国際空港隣接エリアで、現地企業と協力してカジノを含む複合型施設事業の開発を推進している。日本でのIR事業参入に向けて「運営・開発ノウハウの集積に努めている」(同社広報)という。
人材の育成も始まっている。
04年に開校した日本で唯一のディーラー養成学校「日本カジノスクール」(東京都新宿区)では、これまでに400人の卒業生を輩出し、うち約70人が海外のカジノでディーラーとして活躍しているという。
自らも20年以上、船上カジノなどでディーラーとして活躍していた大岩根成悦校長(43)は「カジノ構想が進まないため、生徒数は年々減少していたが、今年4月から入学希望者が急に増えてきた。東京五輪の開催決定は、カジノ解禁への追い風を感じ始めていた矢先の吉報だった。流れが来ているのを実感する」と話す。
では、日本版カジノができるのは、一体いつごろになるのか。
カジノ議連のメンバーで、東京都議時代からカジノ誘致運動に関わってきた柿沢未途衆院議員は「早ければ18年ごろではないか、法整備を完全に終えるのに2年。施設建設や誘致自治体の選定などに3年として、大体5年だ。あるいは、もっとスピード感を持たせることもできる」と語る。
候補地としては、東京・お台場が最有力で、橋下徹大阪市長が誘致に熱心な大阪・りんくうタウン、沖縄などの地方都市との同時開業もあり得る。柿沢氏はいう。
「2010年に日本より一足早くIR施設を開業したシンガポールは、観光収入が前年比1・5倍アップし、経済成長率14・5%という驚異的な数字も記録した。日本でカジノが実現すれば、これ以上の成果も期待できる。五輪との相乗効果で経済成長の大きな起爆剤となるはずだ」
大阪商業大学の佐和良作教授らの「カジノ開設の経済効果」という論集では、日本でカジノが開設された場合、市場規模は2兆1517億円~3兆4438億円、経済波及効果は4兆7873億円~7兆6619億円、誘発雇用人員は49万1863人~78万7204人と計算している。
アベノミクスの強い推進力となる可能性は高い。東京五輪の祝賀ムードに乗り、関係者らの悲願達成となるか。