中国が突然、為替政策を変更すると予想していた米国のヘッジファンドが今月、2日間で約1億ドル(約122億円)の利益をあげていたことがわかった。中国経済の先行きを悲観視する弱気筋が報われ始めているようだ。
1億ドルの利益をあげたのは米投資会社カーライル・グループ傘下のエマージング・ソブリン・グループ(ESG)が運営する「ネクサス」ファンド。関係者によると、今月11日に中国当局が突然、過去20年で最大の人民元切り下げに踏み切ったあと、同ファンドのリターンは75%にまで上昇した。
手数料を除いた今月半ばまでの年初来のリターンは約50%。関係者の1人によると、先月半ばまでのリターンはマイナス11%で、今回の利益で損失を埋め合わせたことになる。
中国の資産価値が悪化すると予想する弱気筋が増えつつある。しかし、外国人による中国の株式市場や債券市場への投資は制限されているため、市場が明らかに下落するとわかっていてもその見通しに投資する手段が多くはない上、投資できたとしても規模は小さく、流動性に欠ける。
元債券営業担当のブライアン・マッカーシー氏率いるネクサスは債券や株式の代わりに人民元が下落すると読み、プットオプション(合意した期限内にあらかじめ設定した価格で人民元を売却する権利)を次々に購入した。ほとんどの投資家は中国政府が人民元の下落を容認せず、下支えすると予想していたため、ネクサスは時間をかけてプットオプションを安く買うことができた。
あるヘッジファンドの投資家は同じような取引を今、行うのは難しいだろうと話す。通貨が切り下げられたことで人民元のプットオプションの価格が値上がりしているからだ。
中国の株式市場が急落するなか、中国に対する弱気の見通しは数週間前からウォール街のエリートたちの間にも広がっている。エリオット・マネジメントのポール・シンガー氏やパーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントのウィリアム・アックマン氏など著名投資家は先月、マンハッタンで開催された投資会議で中国について懸念を表明した。
世界最大のヘッジファンドで長年、中国の潜在力を評価してきたブリッジウォーター・アソシエイツは先月、投資家に対して「われわれの中国に対する見方は変わった」と明らかにした上で、「今は投資できる安全な場所はない」と述べた。このコメントがウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の1面に掲載されると、同社は「(方針の)変更があまりにも大げさに扱われすぎている」とトーンダウンし、中国には「こうした難題を扱うだけの資源もあり、有能な指導者もいる」と述べた。
マッカーシー氏の考えをよく知るある関係者は、同氏が2012年にネクサスを立ち上げたときから、中国の成長は持続不可能であり、幻想であるとみて警鐘を鳴らしていたという。
ESGは13年に行った説明で「米国や欧州と同様に、われわれは中国が間もなく信用不況の影響に対処することになると考えている」と述べていた。WSJはこの説明資料を閲覧した。
ESGはこの中で、建設過剰や過剰負債によって中国経済が軟化すると予想。中国人民銀行(中銀)がどのような景気刺激策を講じても、元安を招く「可能性が高い」との見解を示した。
1億ドルの利益をあげたのは米投資会社カーライル・グループ傘下のエマージング・ソブリン・グループ(ESG)が運営する「ネクサス」ファンド。関係者によると、今月11日に中国当局が突然、過去20年で最大の人民元切り下げに踏み切ったあと、同ファンドのリターンは75%にまで上昇した。
手数料を除いた今月半ばまでの年初来のリターンは約50%。関係者の1人によると、先月半ばまでのリターンはマイナス11%で、今回の利益で損失を埋め合わせたことになる。
中国の資産価値が悪化すると予想する弱気筋が増えつつある。しかし、外国人による中国の株式市場や債券市場への投資は制限されているため、市場が明らかに下落するとわかっていてもその見通しに投資する手段が多くはない上、投資できたとしても規模は小さく、流動性に欠ける。
元債券営業担当のブライアン・マッカーシー氏率いるネクサスは債券や株式の代わりに人民元が下落すると読み、プットオプション(合意した期限内にあらかじめ設定した価格で人民元を売却する権利)を次々に購入した。ほとんどの投資家は中国政府が人民元の下落を容認せず、下支えすると予想していたため、ネクサスは時間をかけてプットオプションを安く買うことができた。
あるヘッジファンドの投資家は同じような取引を今、行うのは難しいだろうと話す。通貨が切り下げられたことで人民元のプットオプションの価格が値上がりしているからだ。
中国の株式市場が急落するなか、中国に対する弱気の見通しは数週間前からウォール街のエリートたちの間にも広がっている。エリオット・マネジメントのポール・シンガー氏やパーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントのウィリアム・アックマン氏など著名投資家は先月、マンハッタンで開催された投資会議で中国について懸念を表明した。
世界最大のヘッジファンドで長年、中国の潜在力を評価してきたブリッジウォーター・アソシエイツは先月、投資家に対して「われわれの中国に対する見方は変わった」と明らかにした上で、「今は投資できる安全な場所はない」と述べた。このコメントがウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の1面に掲載されると、同社は「(方針の)変更があまりにも大げさに扱われすぎている」とトーンダウンし、中国には「こうした難題を扱うだけの資源もあり、有能な指導者もいる」と述べた。
マッカーシー氏の考えをよく知るある関係者は、同氏が2012年にネクサスを立ち上げたときから、中国の成長は持続不可能であり、幻想であるとみて警鐘を鳴らしていたという。
ESGは13年に行った説明で「米国や欧州と同様に、われわれは中国が間もなく信用不況の影響に対処することになると考えている」と述べていた。WSJはこの説明資料を閲覧した。
ESGはこの中で、建設過剰や過剰負債によって中国経済が軟化すると予想。中国人民銀行(中銀)がどのような景気刺激策を講じても、元安を招く「可能性が高い」との見解を示した。