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2日で122億円稼いだヘッジファンド

2015年08月24日 06時46分51秒 | 経済
 中国が突然、為替政策を変更すると予想していた米国のヘッジファンドが今月、2日間で約1億ドル(約122億円)の利益をあげていたことがわかった。中国経済の先行きを悲観視する弱気筋が報われ始めているようだ。

 1億ドルの利益をあげたのは米投資会社カーライル・グループ傘下のエマージング・ソブリン・グループ(ESG)が運営する「ネクサス」ファンド。関係者によると、今月11日に中国当局が突然、過去20年で最大の人民元切り下げに踏み切ったあと、同ファンドのリターンは75%にまで上昇した。

 手数料を除いた今月半ばまでの年初来のリターンは約50%。関係者の1人によると、先月半ばまでのリターンはマイナス11%で、今回の利益で損失を埋め合わせたことになる。

 中国の資産価値が悪化すると予想する弱気筋が増えつつある。しかし、外国人による中国の株式市場や債券市場への投資は制限されているため、市場が明らかに下落するとわかっていてもその見通しに投資する手段が多くはない上、投資できたとしても規模は小さく、流動性に欠ける。

 元債券営業担当のブライアン・マッカーシー氏率いるネクサスは債券や株式の代わりに人民元が下落すると読み、プットオプション(合意した期限内にあらかじめ設定した価格で人民元を売却する権利)を次々に購入した。ほとんどの投資家は中国政府が人民元の下落を容認せず、下支えすると予想していたため、ネクサスは時間をかけてプットオプションを安く買うことができた。

 あるヘッジファンドの投資家は同じような取引を今、行うのは難しいだろうと話す。通貨が切り下げられたことで人民元のプットオプションの価格が値上がりしているからだ。

 中国の株式市場が急落するなか、中国に対する弱気の見通しは数週間前からウォール街のエリートたちの間にも広がっている。エリオット・マネジメントのポール・シンガー氏やパーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントのウィリアム・アックマン氏など著名投資家は先月、マンハッタンで開催された投資会議で中国について懸念を表明した。

 世界最大のヘッジファンドで長年、中国の潜在力を評価してきたブリッジウォーター・アソシエイツは先月、投資家に対して「われわれの中国に対する見方は変わった」と明らかにした上で、「今は投資できる安全な場所はない」と述べた。このコメントがウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の1面に掲載されると、同社は「(方針の)変更があまりにも大げさに扱われすぎている」とトーンダウンし、中国には「こうした難題を扱うだけの資源もあり、有能な指導者もいる」と述べた。

 マッカーシー氏の考えをよく知るある関係者は、同氏が2012年にネクサスを立ち上げたときから、中国の成長は持続不可能であり、幻想であるとみて警鐘を鳴らしていたという。

 ESGは13年に行った説明で「米国や欧州と同様に、われわれは中国が間もなく信用不況の影響に対処することになると考えている」と述べていた。WSJはこの説明資料を閲覧した。

 ESGはこの中で、建設過剰や過剰負債によって中国経済が軟化すると予想。中国人民銀行(中銀)がどのような景気刺激策を講じても、元安を招く「可能性が高い」との見解を示した。
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村上ファンド「復帰初戦敗北」で次の一手は? 黒田電気経営陣との戦いは長期戦に

2015年08月24日 06時39分55秒 | ニュース
 会場から出てきた村上絢氏(27)は顔を伏せ、一言も発すること無く車に乗り込み、去っていった。娘の絢氏を伴い、再び市場の表舞台に返ってきた村上世彰氏(56)。だが、その初戦は敗北で終わった。

 8月21日に電子部品商社、黒田電気の臨時株主総会が、同社の登記上の本社である大阪で行われた。議題は「村上ファンド」で知られる村上世彰氏をはじめとした4人の社外取締役の就任。世彰氏の長女、村上絢氏が6月から代表に就任しているC&Iホールディングスが、黒田電気側に求めていた。

 株主提案を通じて村上氏側が求めていたのは、余剰資金の活用だ。黒田電気には売掛金を含めて244億円のネットキャッシュがあることを根拠に、「配当性向100%は可能だ」と主張。また、エレクトロニクス商社には再編の余地があり、黒田電気はM&Aを通じて再編を主導、売上高1兆円企業になるべきだとしていた。

 一方、黒田電気側はこの株主提案に対して真っ向から反対していた。配当性向100%に関しては、売掛金の回収期間が長く、月商の200億円程度の現金は運転資金として確保しておく必要があるとし、プレスリリースで「黒田電気の事業特性並びに企業価値の源泉を無視した非合理な主張」と断じていた。

 また、エレクトロニクス商社の再編についても、黒田電気が液晶の卸を主体とした事業構成で、自ら製造部門を有しているという独自性から、村上氏のいう再編論とはそもそも事業方針が違うと主張していた。

 午前10時から行われた株主総会には101人(6月26日に行われた定時株主総会では70人)が出席した。黒田電気の村橋和哉執行役員によると、「村上氏側で来ていたのは絢氏と(C&Iホールディングスの副代表で、新任取締役候補の)福島啓修氏。それと(元レノ代表の)三浦恵美氏と思しき人もいたが、定かではない」という。世彰氏を含めた、残り3人の取締役候補は来ていなかったようだ。

 株主総会では、まず村上氏側と会社側がそれぞれ意見表明をした後に質疑応答が行われた。

 出席していた株主によると、「最初に話した事は、両陣営ともに事前に文章で出していた主張とほぼ同じ。村上氏側の意見表明は絢さんがすべて話していた。緊張している様子はなく、落ち着いて話していた」という。

 質疑応答の時間で行われた質問は全部で18問。村上氏側から会社側への質問はなく、質問は一般株主から両陣営に対して行われた。会社側への質問は資本政策や業界再編、そして黒田電気が2012年に発行し、絢氏が公表文書で「資本政策上の失策」と批判していた転換社債についての質問が中心だったようだ。

 村上氏側へは、新任取締役候補者の就任目的、就任後の経営方針などの質問が行われたという。質問に対しては、すべて絢氏が答えていたようだ。「会社は事前に用意した形式張ったものだったが、絢氏側も事前に準備した回答を出しただけという印象だった」(別の株主)。

 その後に行われた採決で、株主提案は反対多数で否決された。定時株主総会の倍以上となる120分を費やした株主総会は、黒田電気側の勝利で終わった。「まだ集計途中なので正確な数字はわかっていないが、反対が60%、賛成が40%くらいの比率。4名の候補者間で賛成率に大きな違いはなかった」(村橋執行役員)という。

 敗れたとはいえ、40%と村上氏側の得票率は半数にせまる。自分たちが保有している約16%を差し引くと、約24%の賛成票が集まった。その大きな力になったのが、議決権行使助言会社の存在だ。今回、業界2位の米グラスルイスは今回の新任取締役候補者4人全員に対して就任反対を表明しているが、業界1位の米ISSは全員に賛成している。

 実は、同様の構図は6月に行われた定時株主総会でも起きている。この時は補欠社外取締役に斎藤輝夫氏が選任された。 斎藤氏の補欠社外取締役就任に対してISS側は「反対」、グラスルイス側は「賛成」だった。その結果、斎藤氏への賛成率はほかの候補に比べて約14%低かった。今回賛成票を投じた24%の一般株主にも、助言会社の影響が少なからずあるとみられる。

 一方、村上氏側が期待していた外国人投資家の切り崩しは、思ったようにはいかなかった。黒田電気の株主構成を見ると、40%以上は外国人投資家。特に約14%を保有する第2位株主、シュローダー・インベストメント・マネジメントがどちらに味方するかが焦点となっていた。

 だが、ふたを開けてみれば、外国人投資家の大多数は黒田電気側に票を入れたようだ。黒田電気の持丸守経営企画室長は「外国人株主はほとんどが長期投資を目的。シュローダーも5年以上前からウチの株を保有している。これまで少なくとも1年に1回はお会いして事業の説明をしてきた。今回もわれわれの方針に理解を示してくれたのだろう」と説明する。

 気になるのは、両陣営の今後の動きだ。黒田電気側は「われわれの主張が多くの株主に受け入れられた結果。従来の経営方針は変わらない。変えていきたいのは株主との対話。特に機関投資家へのIR活動を重視していきたい」(村橋執行役員)と言う。

 対する村上氏側は、C&Iホールディングスの公開文書で「株主として引き続き黒田電気のガバナンスを行い、黒田電気の株主価値向上に取り組んで参る所存です」とコメントしたのみ。

 外部から調達した資金を運用していた村上ファンドの時と違い、今回の投資資金はほぼすべて村上氏の自己資金で賄っている。出資者から短期的な利益が求められることはないため、長期戦も可能だ。

 今後の村上氏側との関係性について、黒田電気側は「今回は方針が合わなかったから反対の方針を取ったが、決して“村上さんだからダメ”というわけではない。今後もほかの株主とわけ隔てなく接していくし、また新しい提案があれば是々非々で考える」(村橋執行役員)としている。こちらも長期戦は覚悟しているようだ。

 2015年3月末時点で、黒田電気株の約45%は16人の所有者が保有する。今後村上氏側がじっくりと切り崩しにかかれば、一度は勝利した黒田電気も足元をすくわれかねない。黒田電気と村上氏との関係はこれで終わりなのか、むしろこれから始まるのか。村上氏の次の一手が注目される。
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