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勤勉、時間を守る… 日本人の当たり前が国連で高く評価

2013年10月20日 08時49分59秒 | ニュース
 今月下旬、東京である画期的な催しが開かれる。外務省が主導する国連就職セミナーだ。会期は、10月22~24日。国連本部のほか、国連開発計画(UNDP)や国連児童基金(UNICEF)など六つの機関の人事担当者がこぞって来日。日本の学生や社会人に直接アピールするほか、志願者に面接の練習や質疑応答などのアドバイスもするという。この規模では初の試み。熱心な採用活動の背景について、東京国連広報センター所長の根本かおるさんはこう話す。

「日本政府の分担金に対して職員の割合が少ないこともありますが、日本人職員への評価が高いことも一因。勤勉、時間を守る、手堅い仕事をする。加えて白か黒か決められない状況で中庸の判断もできる。交渉や政策決定でも相手の価値観を理解できる柔軟性にも定評があります」

 現在、国連本部事務局の日本人職員は60人。日本の分担金が世界2位なのにもかかわらず、職員数は8位。望ましい人数の3分の1にも満たない。

「ゼネラリストより専門性や即戦力が求められる。自分には無理と思ってしまう人が多いのではないでしょうか」(根本さん)

 確かに国連の採用はハードルが高そうに見える。一般的には空席ポストに応募する。そのためには、修士以上の学歴、専門性、実務経験、そして英語をはじめとする国連公用語の語学力が求められる。民間企業経験者もこれに応募する。若手の採用は、国連職員採用競争試験(ヤング・プロフェッショナル・プログラム=YPP)や、外務省のJPO試験もある。また、短期契約やコンサルタント、技術援助プロジェクトのスタッフ、学生インターンを経て正規採用されることもあり、実は「入り口」は様々だ。

「21歳までパスポートも持っていなかったんです」

 こう話すのは、平和維持活動(PKO)局アジア・中東部長中満泉さん(50)。シリアの反政府運動など世界の注目が集まる紛争地で、現場の指揮をとる。

 高校のとき国連に興味を持ち、大学で国際法を学び、アメリカに留学。初の海外経験だった。

「鏡を見ながらRとLの発音を1時間練習したり、大量の文書を読んだり書いたりして、英語を猛特訓しました」

 PKOは治安が安定しない地域で、平和と安全を維持するために活動をする。複雑な力関係の調整が必要だ。世界が激変するなか、従来のような欧米主導のやり方では必ずしも立ち行かない。必要なのは「木を見て森も見る」複眼的思考だ。

「若い職員からも新しいアイデアを聞くようにしています。幕末や明治維新期の警察組織や近代化など、日本の歴史から応用できることもある。今こそグローバルレベルで活動できる能力を持った日本人の声が求められているのではないでしょうか」

※AERA  2013年10月21日号

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