欧州連合(EU)は20日、ユーロ圏財務相会合を開き、ギリシャへの第2次金融支援(追加支援)に関する合意に向け最終調整に入った。欧州中央銀行(ECB)や各国中央銀行による支援なども詰め、同日中の決定をめざす。ギリシャのパパデモス首相を交えて無秩序なデフォルト(債務不履行)を避けるために協議。20日深夜(日本時間21日早朝)現在、会合は続いている。
ギリシャ支援を巡る主な課題 追加の金融
支援 欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が中心に計画。財政再建の着実な実行が条件だが、不安視する声は根強い
欧州中央銀行(ECB)の関与 ECBと各国中銀が保有するギリシャ国債を通じた債務減免にどう踏み込むかが焦点。中銀の健全性を損なう恐れ
民間銀行の負担増 民間が保有するギリシャ国債の元本50%削減へ。追加策の是非、参加数や手法に不透明さも
議長のユンケル・ルクセンブルク首相は20日、ブリュッセルで記者団にEU・国際通貨基金(IMF)による支援の規模について「まだ調整中」と語る一方で「きょう中に最終合意することができる」と自信を示した。「誰もギリシャのユーロ圏離脱を望んでいない」とも強調した。
パパデモス首相は19日夜、ブリュッセルに入った。財務相会合に出るベニゼロス財務相とともに、ギリシャの国債を保有する民間債権者の代表、国際金融協会(IIF)のダラーラ専務理事らと接触するという。
ユーロ圏財務相会合では議長でルクセンブルク首相のユンケル氏、財務相を兼務するイタリアのモンティ首相を除くと、首脳が参加するのは異例。ギリシャ財務省は「ギリシャにとって極めて重要な決定をするため」と説明している。
EUとIMFによる第2次支援の規模は約1300億ユーロで、2010年5月の1100億ユーロの第1次支援に続く措置となる。EU、IMFの双方にとり先進国への支援としては過去最大級。
EUは第2次支援の前提として(1)ギリシャ政府による12年中の3億2500万ユーロの歳出削減策の具体化(2)4月にも予定する総選挙後も財政再建・構造改革を続けることに関する与党党首による「誓約書」の提出(3)財政緊縮関連法の成立――の3条件を挙げていた。20日までにギリシャ政府・議会は条件を整えた。
フランスのバロワン財政相は20日のラジオ番組で「民間、公的部門の双方を含めてすべての要素が出そろった」と述べ、支援決定は間近との見通しを表明した。オーストリアのフェクター財務相も同様の認識を示した。
残る焦点はECBや各国の中央銀行の対応だ。EU・IMFは20年までにギリシャの政府債務を国内総生産(GDP)比で現在の160%程度から120%まで下げるのが目標。ただ、民間投資家が負担増を受け入れて債務削減に協力しても、現状では125~129%程度までしか落とせないという。
この不足分をECBやギリシャ国債を持つ欧州各国の中銀による関与で穴埋めできるかが論点となっている。ECBは保有国債から得られる利益を放棄し、各国中銀も債務削減に協力する案が有力だ。EUによるギリシャ向け融資の金利を下げる案も出ている。
欧米メディアによると1300億ユーロ規模の第2次支援のうち、IMFの負担は1割の130億ユーロ程度にとどめる方向だ。IMFは第1次支援で3割弱の300億ユーロを負担した。2次支援ではIMFの資金の活用に慎重な米国や新興国に一定の配慮をしたとみられる。
今回は官民が参加したギリシャへの「包括支援」とも呼ばれる。EU・IMFによる1300億ユーロ規模の第2次支援と、民間債権者によるギリシャ国債の元本50%削減への協力の組み合わせから構成するためだ。1300億ユーロのうち300億ユーロ程度は民間負担に伴う費用で、残りはギリシャの資金繰り支援やギリシャの銀行の資本増強に充てる方向だ。
ギリシャ支援を巡る主な課題 追加の金融
支援 欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が中心に計画。財政再建の着実な実行が条件だが、不安視する声は根強い
欧州中央銀行(ECB)の関与 ECBと各国中銀が保有するギリシャ国債を通じた債務減免にどう踏み込むかが焦点。中銀の健全性を損なう恐れ
民間銀行の負担増 民間が保有するギリシャ国債の元本50%削減へ。追加策の是非、参加数や手法に不透明さも
議長のユンケル・ルクセンブルク首相は20日、ブリュッセルで記者団にEU・国際通貨基金(IMF)による支援の規模について「まだ調整中」と語る一方で「きょう中に最終合意することができる」と自信を示した。「誰もギリシャのユーロ圏離脱を望んでいない」とも強調した。
パパデモス首相は19日夜、ブリュッセルに入った。財務相会合に出るベニゼロス財務相とともに、ギリシャの国債を保有する民間債権者の代表、国際金融協会(IIF)のダラーラ専務理事らと接触するという。
ユーロ圏財務相会合では議長でルクセンブルク首相のユンケル氏、財務相を兼務するイタリアのモンティ首相を除くと、首脳が参加するのは異例。ギリシャ財務省は「ギリシャにとって極めて重要な決定をするため」と説明している。
EUとIMFによる第2次支援の規模は約1300億ユーロで、2010年5月の1100億ユーロの第1次支援に続く措置となる。EU、IMFの双方にとり先進国への支援としては過去最大級。
EUは第2次支援の前提として(1)ギリシャ政府による12年中の3億2500万ユーロの歳出削減策の具体化(2)4月にも予定する総選挙後も財政再建・構造改革を続けることに関する与党党首による「誓約書」の提出(3)財政緊縮関連法の成立――の3条件を挙げていた。20日までにギリシャ政府・議会は条件を整えた。
フランスのバロワン財政相は20日のラジオ番組で「民間、公的部門の双方を含めてすべての要素が出そろった」と述べ、支援決定は間近との見通しを表明した。オーストリアのフェクター財務相も同様の認識を示した。
残る焦点はECBや各国の中央銀行の対応だ。EU・IMFは20年までにギリシャの政府債務を国内総生産(GDP)比で現在の160%程度から120%まで下げるのが目標。ただ、民間投資家が負担増を受け入れて債務削減に協力しても、現状では125~129%程度までしか落とせないという。
この不足分をECBやギリシャ国債を持つ欧州各国の中銀による関与で穴埋めできるかが論点となっている。ECBは保有国債から得られる利益を放棄し、各国中銀も債務削減に協力する案が有力だ。EUによるギリシャ向け融資の金利を下げる案も出ている。
欧米メディアによると1300億ユーロ規模の第2次支援のうち、IMFの負担は1割の130億ユーロ程度にとどめる方向だ。IMFは第1次支援で3割弱の300億ユーロを負担した。2次支援ではIMFの資金の活用に慎重な米国や新興国に一定の配慮をしたとみられる。
今回は官民が参加したギリシャへの「包括支援」とも呼ばれる。EU・IMFによる1300億ユーロ規模の第2次支援と、民間債権者によるギリシャ国債の元本50%削減への協力の組み合わせから構成するためだ。1300億ユーロのうち300億ユーロ程度は民間負担に伴う費用で、残りはギリシャの資金繰り支援やギリシャの銀行の資本増強に充てる方向だ。
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