読者からの悩み、資産1億、自営業で年金はあてにできない……
このコーナーでは、読者からの悩み相談を取り上げています。
相談シリーズの4回目は、ペンネーム”僕レラ”さん(52歳既婚・現在自営・大阪府)からのご相談です。
現在自営しています。嫁とは死に別れ、子供たちは独立しています。住宅ローンは完済しています。商売上の借金は、現在4000万あります。5年後に完済予定です。資産は、株式投資に7500万(現状の評価)。配当金目的の投資なので、年270万(税込)の配当金が有ります。その他に現金2000万が有りますが、夏にぜいたく品購入の為、1000万になる予定です。結婚の予定も気持ちも無く、仕事は6年後にはリタイアしたいのです。株式で6000万~8000万(景気に左右されますが)、配当金年手取りで200万ぐらい。現金で6000万ぐらいの預金。株式と配当金は上下の可能性有ですが……公的年金はあてにしていません。私的には計画的に進めてるつもりですが、注意すべき所等有りますでしょうか?
52歳 男性(既婚・子ども2人)
自営業 大阪府在住
月収90万円、資産1億円(その中の投資額7500万円)
堅実な資産配分ですが……
僕レラさん、はじめまして!ファイナンシャルDr.の北川です。
現在の資産が1億円で、6年後にリタイアして、そのときの資産予想額が1億2000万~4000万円というプランですね。いまは独り身で、ご子息も独立されているとなれば、老後の資金としては十分過ぎるほど貯まっています。まったく問題はありません。
しかも、株式の6000万~8000万円から配当で200万円を受け取るという計画も、堅実であると思います。注意すべき所というほどではないですが、改善したいのは資産の偏りです。
純国産ポートフォリオの死角は?
資産は、預貯金と日本株にほとんど置いていると想像されます。日本人としては、きわめて常識的な資産配分ですが、金融マーケットの世界からみると、それも「偏り」といえます。
もし、リーマンショックのような大混乱が再び起こったら……、あるいは、心配されている日本国債券の暴落とかハイパーインフレ、日本円の暴落などが起こったら、預貯金は物価に対して目減りしてしまいますし、株式も大きく毀損することでしょう。
その意味では、資産の分散によるリスクヘッジをしておいたほうがより安全と思います。安全資産と思われている預貯金と日本株が共倒れになるような確率は、決して高くないので、これは緊急、重大な課題ではありません。できれば、やっておいた方がよいと思われる改善策です。
海外の優良資産を組み入れる
僕レラさんが保有していない、メジャーな資産としては、
海外株式、海外債券、不動産、商品
があります。これらを、投資信託の形で世界中の優良資産として保持することが、日本人にとってのリスクヘッジとなります。
たとえば、物価上昇2%に負けない資産配分を求めたとした場合には、現在のところ次のような資産配分が効率的とされています(過去の値動きデータから算出できるシミュレーション結果)。
預貯金:25%
国内債券:35%
海外債券:25%
新興国債券:6%
国内株式:3%
海外株式:4%
コモディティ:2%
たぶん日本人は、海外の債券や株式、商品を、リスクの高いものと想像して手を出さないのだと思います。しかし、リスクの高い資産でも、値動きが現保有資産と異なっていれば、少しだけ組入れることで、リスクが低減するというのが、アセットアロケーション理論です。
※アセットアロケーション理論は、1990年にノーベル経済学賞を受賞して、その後の世界の年金運用に革命的な進歩を与えました。
現在の主要方針を刷新する必要もありませんが、少しだけ世界の優良資産を組入れると、より安心感が増すことと思います。
何歳まで株を保有するか?
これは勝手な想像ですが、資産からの配当金で生きている間は暮らすというイメージかと思います。しかし、現実に人は老いるので、死ぬまで株などのリスク商品で運用を続けられると期待することは危険です。金融機関も高齢者との取引には慎重になっています。
ご自身の健康や判断能力、そして取引の健全性などの観点からは、運用にも引退時期の設定が必要ではないでしょうか?たとえば、70歳になったらすべての運用から撤退して、あとは資産の取り崩しだけで暮らしていけるといった計画があると安全です。
そう考えると、70歳までにお金がいくらできれば撤退できるという目標設定ができます。今の株式運用も、その目標額達成に向けて見直すことができます。
よろしいですか?ポートフォリオ改善の二つの視点。
一つは、海外資産の組み入れ。もう一つは、投資からの卒業です。
人生のミッションは?
最後に、余計なお世話かもしれませんが、私の相談体験から申し上げられる注意点を、あと二つ。
一つは、リタイア後の生活です。いまは、忙しい現役生活から解放されたいという思いかもしれませんが、いざリタイアして、有り余る時間を前にすると、暇がとても苦痛なものになるようです。
そのせいで、余計なことに手を出して、大切な老後資金を減らしてしまう人もいます。今のうちから、リタイア後の充実を計画的に創っていかれたら良いと思います。
二つ目に、ご子息たちのことです。すでに独立されて、お金も世話も不要のように読めますが、長い人生では、どんなアクシデントが彼らを襲うか分かりません。
どんなに頼もしいご子息たちであっても、いざというときのサポートやヘルプをしてあげられる存在として、資産と健康を保っていてください。家族に貢献するというミッションが終わることは、生涯ありませんから。
このコーナーでは、読者からの悩み相談を取り上げています。
相談シリーズの4回目は、ペンネーム”僕レラ”さん(52歳既婚・現在自営・大阪府)からのご相談です。
現在自営しています。嫁とは死に別れ、子供たちは独立しています。住宅ローンは完済しています。商売上の借金は、現在4000万あります。5年後に完済予定です。資産は、株式投資に7500万(現状の評価)。配当金目的の投資なので、年270万(税込)の配当金が有ります。その他に現金2000万が有りますが、夏にぜいたく品購入の為、1000万になる予定です。結婚の予定も気持ちも無く、仕事は6年後にはリタイアしたいのです。株式で6000万~8000万(景気に左右されますが)、配当金年手取りで200万ぐらい。現金で6000万ぐらいの預金。株式と配当金は上下の可能性有ですが……公的年金はあてにしていません。私的には計画的に進めてるつもりですが、注意すべき所等有りますでしょうか?
52歳 男性(既婚・子ども2人)
自営業 大阪府在住
月収90万円、資産1億円(その中の投資額7500万円)
堅実な資産配分ですが……
僕レラさん、はじめまして!ファイナンシャルDr.の北川です。
現在の資産が1億円で、6年後にリタイアして、そのときの資産予想額が1億2000万~4000万円というプランですね。いまは独り身で、ご子息も独立されているとなれば、老後の資金としては十分過ぎるほど貯まっています。まったく問題はありません。
しかも、株式の6000万~8000万円から配当で200万円を受け取るという計画も、堅実であると思います。注意すべき所というほどではないですが、改善したいのは資産の偏りです。
純国産ポートフォリオの死角は?
資産は、預貯金と日本株にほとんど置いていると想像されます。日本人としては、きわめて常識的な資産配分ですが、金融マーケットの世界からみると、それも「偏り」といえます。
もし、リーマンショックのような大混乱が再び起こったら……、あるいは、心配されている日本国債券の暴落とかハイパーインフレ、日本円の暴落などが起こったら、預貯金は物価に対して目減りしてしまいますし、株式も大きく毀損することでしょう。
その意味では、資産の分散によるリスクヘッジをしておいたほうがより安全と思います。安全資産と思われている預貯金と日本株が共倒れになるような確率は、決して高くないので、これは緊急、重大な課題ではありません。できれば、やっておいた方がよいと思われる改善策です。
海外の優良資産を組み入れる
僕レラさんが保有していない、メジャーな資産としては、
海外株式、海外債券、不動産、商品
があります。これらを、投資信託の形で世界中の優良資産として保持することが、日本人にとってのリスクヘッジとなります。
たとえば、物価上昇2%に負けない資産配分を求めたとした場合には、現在のところ次のような資産配分が効率的とされています(過去の値動きデータから算出できるシミュレーション結果)。
預貯金:25%
国内債券:35%
海外債券:25%
新興国債券:6%
国内株式:3%
海外株式:4%
コモディティ:2%
たぶん日本人は、海外の債券や株式、商品を、リスクの高いものと想像して手を出さないのだと思います。しかし、リスクの高い資産でも、値動きが現保有資産と異なっていれば、少しだけ組入れることで、リスクが低減するというのが、アセットアロケーション理論です。
※アセットアロケーション理論は、1990年にノーベル経済学賞を受賞して、その後の世界の年金運用に革命的な進歩を与えました。
現在の主要方針を刷新する必要もありませんが、少しだけ世界の優良資産を組入れると、より安心感が増すことと思います。
何歳まで株を保有するか?
これは勝手な想像ですが、資産からの配当金で生きている間は暮らすというイメージかと思います。しかし、現実に人は老いるので、死ぬまで株などのリスク商品で運用を続けられると期待することは危険です。金融機関も高齢者との取引には慎重になっています。
ご自身の健康や判断能力、そして取引の健全性などの観点からは、運用にも引退時期の設定が必要ではないでしょうか?たとえば、70歳になったらすべての運用から撤退して、あとは資産の取り崩しだけで暮らしていけるといった計画があると安全です。
そう考えると、70歳までにお金がいくらできれば撤退できるという目標設定ができます。今の株式運用も、その目標額達成に向けて見直すことができます。
よろしいですか?ポートフォリオ改善の二つの視点。
一つは、海外資産の組み入れ。もう一つは、投資からの卒業です。
人生のミッションは?
最後に、余計なお世話かもしれませんが、私の相談体験から申し上げられる注意点を、あと二つ。
一つは、リタイア後の生活です。いまは、忙しい現役生活から解放されたいという思いかもしれませんが、いざリタイアして、有り余る時間を前にすると、暇がとても苦痛なものになるようです。
そのせいで、余計なことに手を出して、大切な老後資金を減らしてしまう人もいます。今のうちから、リタイア後の充実を計画的に創っていかれたら良いと思います。
二つ目に、ご子息たちのことです。すでに独立されて、お金も世話も不要のように読めますが、長い人生では、どんなアクシデントが彼らを襲うか分かりません。
どんなに頼もしいご子息たちであっても、いざというときのサポートやヘルプをしてあげられる存在として、資産と健康を保っていてください。家族に貢献するというミッションが終わることは、生涯ありませんから。