師走に入ると急に日常が忙しくなる気がする。ゆっくりやろう、と先ず自分に言い聞かせている。「ぶらり湯けむり 太閤秀吉・ねねが愛した有馬温泉」というお誘いのタイトルに心が動いて今年最後の歩きに参加した。有馬温泉は湯に浸かって御馳走を食べる所という思い込みがあって、昔訪れた時にはホテル(兵衛向陽閣)周辺の散策など思いもよらなかったよナ。
12月10日(土)
午前10時、神戸電鉄「有馬温泉」駅に集合。
有馬温泉発見の伝説があって、その昔、大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)の2神が、傷ついた3羽の烏が湧き出た泉で湯浴びをしていると数日後に治ったのを見て、この湯こそ万病に効くと世に広めたというのである。散策の途中で3羽の烏が置かれていた。楽しい話だなぁ~(笑)
飛鳥時代、舒明天皇(じょめいてんのう)や孝徳天皇が有馬で入湯されたとか。奈良時代聖武天皇の頃、大火災が発生して有馬が全壊した時、僧行基が復興再建を果たし、平安時代に起きた大洪水・山崩れで荒廃した有馬を僧仁西が再興したと伝えられているそうだ。その後、鎌倉、室町、安土桃山と時代が変わるなか何回も大きな災害に見舞われながらその度修復歴を繰り返してきたという。豊臣秀吉は特に有馬温泉がお気に入りで自らの湯殿を造ったり、1000人余りの客を招いてお茶会を開いたりお花見を催したり、有馬温泉の繁栄に随分力を注いだらしい。
さて、散策コースの最初の名所は有馬川に架かる赤い格子の『太閤橋』であった。親柱に豊臣家の家紋・五七桐や秀吉の馬印(うまじるし)である瓢箪(千成瓢箪)が浮彫りされているのを見ると、有馬の人達の秀吉への思いが伝わってくる。
この橋の周辺は「湯けむり広場」と呼ばれていて、後に見る太閤の座像や噴水、袂石などがある。
有馬川に沿う遊歩道を進むと同じく赤い格子の橋・『ねね橋』が在って、橋の袂には秀吉の正室北政所ねね像が立っていた。身体をよじって見つめているその先は太閤像であるらしい。
2つの橋の間の川底は石造りの親水公園になっていた。(私達2人はソコで昼食弁当を食べた。)なるほど観光客を楽しませる為のいろいろな工夫が伺える。
(画像はクリックすると拡大する。)
太閤通りを左に入って「湯本坂」を登り始めると木造三階建の古い格子戸の家が並んでいてビックリする。まもなく太閤泉・共同浴場「金の湯」の前に来ると、温泉湯が飲める飲水所や湯の色が茶褐色した足湯があって温泉場に来た気分がしてきた。上り坂は更に続いて湯煙の昇る「御所泉源」(ごしょせんげん)に来た。案内板には【 金泉(赤湯)には、塩分と鉄分が多く含まれ、特に塩分濃度が日本一の温泉として有名です。泉質:金泉(含鉄・ナトリウムー塩化物強塩高温泉) 温度:97℃ 深さ165m 】と書いていた。金泉の色は水に含まれている鉄分が空気に触れると酸化して赤くなるのだそうだ。
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見上げるばかりの鐘楼と巨大な2基の五輪塔のある「温泉寺」(おんせんじ)に来た。
本堂の外からでも拝顔できる大きな薬師如来像が祀られている。薬師如来像の両脇には日光・月光菩薩そして十二神将が侍る大変立派なお寺で、奈良時代に僧行基が薬師如来像を祀ったのが始まりと言われている。(ちなみに五輪塔は平清盛と慈心坊 尊恵の塔らしい。)
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次の「極楽寺」(お寺の創建は聖徳太子とか)に至る「ねがい坂」の途中に、行基像と「ねがいの泉」と名付けられた木の葉を模った水飲み場と例の三羽烏が置かれ、観光客の足を止めていた。
極楽寺境内の奥にある「太閤の湯殿館」には、1995年のあの阪神淡路大震災で寺の庫裏下から秀吉が自分用に造っていた石組みの湯屋(浴場)跡が見つかり、蒸し風呂・岩風呂の遺構etc.が展示されているらしい。
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道路を挟んで、ねねの別邸跡と伝えられている「念仏寺」が在る。先ず目に飛び込んでくる法然上人の何と可愛く凛々しい少年像、お知恵を頂けるというので撫ぜる人が多く、頭の天辺は色が変わっていた。勿論私も撫ぜたよ。(笑)
御本尊の阿弥陀仏立像は快慶作と言われている事、樹齢300年余の沙羅双樹の花が咲くという事、寿老人が祀られているという事、私には大変魅かれるお寺であるが、今日は団体での歩きが目的なので、勝手な行動は慎まなければならない。
有馬温泉の神社仏閣で人気ランキング二位と言われる「湯泉神社」(とうせんじんじゃ)は愛宕山の中腹に在り、先ほどの温泉寺の境内から鳥居をくぐる。(一位はやはり温泉寺のようだ。)
見上げると200段もあるかと思う石段が続いていた。参拝を諦めた人も居て私も迷ったけれど、やっぱり踏み出した。こちらの主祭神はあの3羽烏と関わりのある神様二柱だそうだ。有馬温泉の守護神として、また子宝の神様として信仰が篤いらしい。
共同浴場「銀の湯」の辺りには沢山の鬼瓦が道路脇に置かれていた。それらは古くなった寺院の物で魔除け・邪気払いの意をもっているらしい。「炭酸泉源」に通じる「タンサン坂」では芸術的な色んな顔を楽しめて、登りの"しんどさ”もそれ程気にならずに泉源に着いた。ここは標高430mで今日のコースで一番高い所だと聞く。そういえば「湯本坂」からずっと上り坂を歩いて来たのだった。
屋根付きの炭酸水が湧く井戸は今は枯れていたが、手前左横にある蛇口をひねると飲めるようになっていた。勿論みんな順番に飲んだ。想像していたような不味いキツイ味ではなかったが、何とも表現し難い妙な味がした。目の前の案内板には【炭酸ガスを含んだ温泉で、昔は砂糖を入れてサイダーとして飲まれていました。 炭酸せんべいの名前の由来ともなっています。】と書かれていた。「焼酎を持って来れば良かったなぁ~」なんて冗談を言っている人がいたっけな。(笑)
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有馬籠くつわ本店では溜息がでるほど繊細な茶道具の籠を見た。工房では職人さんが竹籠等を作っていられるのを見せてもらえた。
次に立ち寄った「林渓寺」(りんけいじ)では蕾の頃から真紅という梅の木・『未開紅』を見た。確かに小さな蕾なのに色は紅、㋂下旬に八重の見事な花を咲かせるという。この実を食べると子宝に恵まれるらしい・・・・・
和やかな雰囲気のメンバーで、又冗談が飛んだ。「ねね様には子どもがいなかったけれど、この梅の実を食べればよかったのに。」「ねね様は梅干しがお嫌いだったのじゃないかしら。」いえいえ、時代が少しずれるのでは。。。。。
すぐ近くの「妬(うわなり)泉源」に来た。この名は昔、美人がこの泉源の前を通ると湯が噴き出したことから付けられたといわれているそうだ。(笑)
かつては妬神社の赤い鳥居の右下に在る網の張った小さな井戸から湧いていたそうだが今は枯れていて、右斜め方向少し上がった所で湯煙が立っていた。この金泉は最初に見た「御所泉源」を経て各旅館に配られているそうだが、有馬には数か所に泉源があるというから地下はお湯で繋がっているんだ。スゴイよな。
細い路地を下っていくと左手に青いシートで覆われた家があった。先月テレビニュースで聞いたばかりの火災現場、隣家からの出火で全焼した有馬人形筆のお店らしい。ぜひ自分の手で握ってみたかった美しい人形筆、私もお店再開の日を待つ一人である。
「有馬天神社」に来ると、赤銅色の階段に驚く。
境内には高い楼がそびえ、地下200mから98℃の湯がゴボゴボと音をたてて湧き出て、白い湯煙が激しく立ち昇る景色は壮観で思わず目を見張る。「天神泉源」である。この神社は有馬温泉の鬼門の方角を治める守護神・厄除け神社として信仰が篤いらしい。御祭神は菅原道真公で神社の社殿右側には天満宮、左側には温泉鬼門除の石柱が立っていた。
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最後は「善福寺」。まるで人里離れた所に在るかのような気持ちになる山門へとドキドキしながら石段を上がって行くと、枝垂桜の大樹が私達を迎えてくれた。市民の木に指定され「糸桜」と呼ばれているそうだ。お寺は727年に行基上人が創建し、1191年頃仁西上人が再興したと言われている。利休をひきつれてこのお寺で茶会を催すのが大好きだったという太閤秀吉もこの二僧の献身が在ってこそと喜んでいたかもね。庭には千利休の供養塔が在った。
12時半ツアーの歩きは終わってお弁当を頂いた後、「有馬御苑」の金泉に(桧の露天風呂にも)入浴して午後2時過ぎポカポカの身体で帰路についた。案内人さんのお陰でいろいろな知識を得て有意義な楽しい歩きであった。
有馬川沿いにも枝垂桜が沢山あったので春には電車で〝Let's go!"、再度訪れてお花見を楽しみ、外湯のあの「金の湯」と「銀の湯」に浸かってみるのもいいだろうなぁ~
12月10日(土)
午前10時、神戸電鉄「有馬温泉」駅に集合。
有馬温泉発見の伝説があって、その昔、大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)の2神が、傷ついた3羽の烏が湧き出た泉で湯浴びをしていると数日後に治ったのを見て、この湯こそ万病に効くと世に広めたというのである。散策の途中で3羽の烏が置かれていた。楽しい話だなぁ~(笑)
飛鳥時代、舒明天皇(じょめいてんのう)や孝徳天皇が有馬で入湯されたとか。奈良時代聖武天皇の頃、大火災が発生して有馬が全壊した時、僧行基が復興再建を果たし、平安時代に起きた大洪水・山崩れで荒廃した有馬を僧仁西が再興したと伝えられているそうだ。その後、鎌倉、室町、安土桃山と時代が変わるなか何回も大きな災害に見舞われながらその度修復歴を繰り返してきたという。豊臣秀吉は特に有馬温泉がお気に入りで自らの湯殿を造ったり、1000人余りの客を招いてお茶会を開いたりお花見を催したり、有馬温泉の繁栄に随分力を注いだらしい。
さて、散策コースの最初の名所は有馬川に架かる赤い格子の『太閤橋』であった。親柱に豊臣家の家紋・五七桐や秀吉の馬印(うまじるし)である瓢箪(千成瓢箪)が浮彫りされているのを見ると、有馬の人達の秀吉への思いが伝わってくる。
この橋の周辺は「湯けむり広場」と呼ばれていて、後に見る太閤の座像や噴水、袂石などがある。
有馬川に沿う遊歩道を進むと同じく赤い格子の橋・『ねね橋』が在って、橋の袂には秀吉の正室北政所ねね像が立っていた。身体をよじって見つめているその先は太閤像であるらしい。
2つの橋の間の川底は石造りの親水公園になっていた。(私達2人はソコで昼食弁当を食べた。)なるほど観光客を楽しませる為のいろいろな工夫が伺える。
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(画像はクリックすると拡大する。)
太閤通りを左に入って「湯本坂」を登り始めると木造三階建の古い格子戸の家が並んでいてビックリする。まもなく太閤泉・共同浴場「金の湯」の前に来ると、温泉湯が飲める飲水所や湯の色が茶褐色した足湯があって温泉場に来た気分がしてきた。上り坂は更に続いて湯煙の昇る「御所泉源」(ごしょせんげん)に来た。案内板には【 金泉(赤湯)には、塩分と鉄分が多く含まれ、特に塩分濃度が日本一の温泉として有名です。泉質:金泉(含鉄・ナトリウムー塩化物強塩高温泉) 温度:97℃ 深さ165m 】と書いていた。金泉の色は水に含まれている鉄分が空気に触れると酸化して赤くなるのだそうだ。
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見上げるばかりの鐘楼と巨大な2基の五輪塔のある「温泉寺」(おんせんじ)に来た。
本堂の外からでも拝顔できる大きな薬師如来像が祀られている。薬師如来像の両脇には日光・月光菩薩そして十二神将が侍る大変立派なお寺で、奈良時代に僧行基が薬師如来像を祀ったのが始まりと言われている。(ちなみに五輪塔は平清盛と慈心坊 尊恵の塔らしい。)
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次の「極楽寺」(お寺の創建は聖徳太子とか)に至る「ねがい坂」の途中に、行基像と「ねがいの泉」と名付けられた木の葉を模った水飲み場と例の三羽烏が置かれ、観光客の足を止めていた。
極楽寺境内の奥にある「太閤の湯殿館」には、1995年のあの阪神淡路大震災で寺の庫裏下から秀吉が自分用に造っていた石組みの湯屋(浴場)跡が見つかり、蒸し風呂・岩風呂の遺構etc.が展示されているらしい。
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道路を挟んで、ねねの別邸跡と伝えられている「念仏寺」が在る。先ず目に飛び込んでくる法然上人の何と可愛く凛々しい少年像、お知恵を頂けるというので撫ぜる人が多く、頭の天辺は色が変わっていた。勿論私も撫ぜたよ。(笑)
御本尊の阿弥陀仏立像は快慶作と言われている事、樹齢300年余の沙羅双樹の花が咲くという事、寿老人が祀られているという事、私には大変魅かれるお寺であるが、今日は団体での歩きが目的なので、勝手な行動は慎まなければならない。
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有馬温泉の神社仏閣で人気ランキング二位と言われる「湯泉神社」(とうせんじんじゃ)は愛宕山の中腹に在り、先ほどの温泉寺の境内から鳥居をくぐる。(一位はやはり温泉寺のようだ。)
見上げると200段もあるかと思う石段が続いていた。参拝を諦めた人も居て私も迷ったけれど、やっぱり踏み出した。こちらの主祭神はあの3羽烏と関わりのある神様二柱だそうだ。有馬温泉の守護神として、また子宝の神様として信仰が篤いらしい。
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共同浴場「銀の湯」の辺りには沢山の鬼瓦が道路脇に置かれていた。それらは古くなった寺院の物で魔除け・邪気払いの意をもっているらしい。「炭酸泉源」に通じる「タンサン坂」では芸術的な色んな顔を楽しめて、登りの"しんどさ”もそれ程気にならずに泉源に着いた。ここは標高430mで今日のコースで一番高い所だと聞く。そういえば「湯本坂」からずっと上り坂を歩いて来たのだった。
屋根付きの炭酸水が湧く井戸は今は枯れていたが、手前左横にある蛇口をひねると飲めるようになっていた。勿論みんな順番に飲んだ。想像していたような不味いキツイ味ではなかったが、何とも表現し難い妙な味がした。目の前の案内板には【炭酸ガスを含んだ温泉で、昔は砂糖を入れてサイダーとして飲まれていました。 炭酸せんべいの名前の由来ともなっています。】と書かれていた。「焼酎を持って来れば良かったなぁ~」なんて冗談を言っている人がいたっけな。(笑)
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有馬籠くつわ本店では溜息がでるほど繊細な茶道具の籠を見た。工房では職人さんが竹籠等を作っていられるのを見せてもらえた。
次に立ち寄った「林渓寺」(りんけいじ)では蕾の頃から真紅という梅の木・『未開紅』を見た。確かに小さな蕾なのに色は紅、㋂下旬に八重の見事な花を咲かせるという。この実を食べると子宝に恵まれるらしい・・・・・
和やかな雰囲気のメンバーで、又冗談が飛んだ。「ねね様には子どもがいなかったけれど、この梅の実を食べればよかったのに。」「ねね様は梅干しがお嫌いだったのじゃないかしら。」いえいえ、時代が少しずれるのでは。。。。。
すぐ近くの「妬(うわなり)泉源」に来た。この名は昔、美人がこの泉源の前を通ると湯が噴き出したことから付けられたといわれているそうだ。(笑)
かつては妬神社の赤い鳥居の右下に在る網の張った小さな井戸から湧いていたそうだが今は枯れていて、右斜め方向少し上がった所で湯煙が立っていた。この金泉は最初に見た「御所泉源」を経て各旅館に配られているそうだが、有馬には数か所に泉源があるというから地下はお湯で繋がっているんだ。スゴイよな。
細い路地を下っていくと左手に青いシートで覆われた家があった。先月テレビニュースで聞いたばかりの火災現場、隣家からの出火で全焼した有馬人形筆のお店らしい。ぜひ自分の手で握ってみたかった美しい人形筆、私もお店再開の日を待つ一人である。
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「有馬天神社」に来ると、赤銅色の階段に驚く。
境内には高い楼がそびえ、地下200mから98℃の湯がゴボゴボと音をたてて湧き出て、白い湯煙が激しく立ち昇る景色は壮観で思わず目を見張る。「天神泉源」である。この神社は有馬温泉の鬼門の方角を治める守護神・厄除け神社として信仰が篤いらしい。御祭神は菅原道真公で神社の社殿右側には天満宮、左側には温泉鬼門除の石柱が立っていた。
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最後は「善福寺」。まるで人里離れた所に在るかのような気持ちになる山門へとドキドキしながら石段を上がって行くと、枝垂桜の大樹が私達を迎えてくれた。市民の木に指定され「糸桜」と呼ばれているそうだ。お寺は727年に行基上人が創建し、1191年頃仁西上人が再興したと言われている。利休をひきつれてこのお寺で茶会を催すのが大好きだったという太閤秀吉もこの二僧の献身が在ってこそと喜んでいたかもね。庭には千利休の供養塔が在った。
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12時半ツアーの歩きは終わってお弁当を頂いた後、「有馬御苑」の金泉に(桧の露天風呂にも)入浴して午後2時過ぎポカポカの身体で帰路についた。案内人さんのお陰でいろいろな知識を得て有意義な楽しい歩きであった。
有馬川沿いにも枝垂桜が沢山あったので春には電車で〝Let's go!"、再度訪れてお花見を楽しみ、外湯のあの「金の湯」と「銀の湯」に浸かってみるのもいいだろうなぁ~