ばあやの のんび~り日記  

還暦をむかえてからパソコンの勉強を始めて
傘寿も越えてしまいました。
いつまでパソコンできるやら・・・

静 寂

2011年06月28日 | ばあやの本棚

6月、静けさだけが体の中をぬけてゆく・・・
しとしと梅雨が続き、なんだか心の中までも雨でぬれてしまった・・・

このところ たて続けに、お二人を永久の旅へお見送りした。

おひとりは、わたしの父方の従姉、 米寿のお祝いをされたばかりの88歳。
子どもの頃から 「文子姉さん」とよんで慕っていた。

もう おひとりは、夫の叔母(母の妹) 92歳。
一人住まいだったが、ときどき様子を見にいっている夫の末妹が、
朝方 廊下で倒れていた叔母をみつけた。
すでに心肺停止状態で、なすすべはなかったと・・・
日頃は、元気のように聞いてはいたが、やはり一人住まいは可哀そうでならない。


おかげさまで、超高齢のわたしの実母は、施設にいて
入退院の繰り返しがあるものの・・・まあ、そこそこ元気で・・・
しかし この頃は、 顔をみるたびに思うが、昨年の今ごろまでの面影は薄れて、
一段と小さくなってきた・・・

昼間はいつも眠ってばかりいて、傍でじ~っと見つめていると
介護師さんが「おこしてあげてください」という。

おおきな声で「杏さんがきたよ!」と呼びかけると、しばらくしてちいさな目をひらいて

「あら、杏さんかい、えらい はよから来たね」
「うんにゃよ、もうすぐオヤツの時間、3時よ」
「あら、私は朝ごはんはまだ食べとらんが・・・」という。

「あんたひとりかい?、今日は?」
「Aさんも一緒たい、ほらここに」
「ばぁちゃん、来とるよ、 どげんね、ご飯はうまかね?」
「朝はおかゆで、あんまりすかん、 昼と夜は普通のご飯で 嬉しいです
「そら、よかったね、グラグラの入れ歯がはずれて、楽になったやろ」
「はい、おなかがすいてこまります・・・」
たった今、オヤツのちいさなタイ焼きを食べたばかりなのに・・・

両手をあわせて、わたしたち二人を拝む格好をしてくれるが、
言葉使いが少し他人行儀のように変化してきて、しっくりしないのが気になる・・・

夜の睡眠がとれず薬をのんでいるが、なかなか眠らずに夜中に声を上げたり、
壁を叩いたりがしばしばあると聞いた。

そのかわりに昼寝が上手になった、赤ちゃんがえりをしてきたような気がする。

わたしたちの顔をみて、余程嬉しかったのか
「杏さんは、子供の時の顔といっちょん、かわっとらんよ、えくぼもあるし・・・」
わたしの顔を穴のあくほど見つめて、何回も繰り返し話してくれる・・・

「さぁ そろそろ帰るからねぇ・・・」といったら 両手をあげて、
「今日はうれしいです、うれしいです、ありがとうです」・・・

なんだか わたしの手の中から少しずつ 遠のいてゆくような気がしてならない。 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする