暑さを乗り切るためにカレーを食べたい!と思うことはないだろうか? ハフハフ言いながらいただいたカレーは胃に染み渡る旨さで、食後に感じるひと汗かいた後の爽快感は何物にも変えがたい。この醍醐味は暑い季節ならでは。だからこその暑い季節にカレーというわけであるが、この季節ならではのカレーに関する悩みもある。それはカレーの保存方法だ。
いくらカレーが大好き!と言っても、一人暮らしで大鍋でカレーを作るとかなりの量になる。一日一食はカレーにしても三日ぐらいは持つ量。だが季節は食品が腐りやすい時期。そう、筆者はせっかく作ったカレーを腐らせない方法を知りたいのだ!!
そこで今回、二人の専門家にカレーが腐るメカニズム、そして腐らせない方法をレクチャーいただいた。
■腐敗とは微生物が混入して増殖、悪化した状態
まず一人目は、食品が腐るメカニズムについて、微生物の働きや発酵食品に詳しい農学博士の田中直義先生に話を伺ってみることにした。
「一般的に腐敗とは、食品に微生物(細菌の場合が多い)が混入して増殖し、食品の性質が悪化する現象です。食品の性質が期待した通りに分解した場合は醗酵といいます。混入する原因は、食品素材、空中浮遊微生物、手指などです」(田中先生)
カレーのような調理された食品は、加熱によって殺菌されるので、腐敗のほとんどの原因は空中に浮遊している微生物が混入したものとのことだ。ということは、保存するときにしっかりフタをするか、密閉できる容器に移し替えれば良いということではないか。それとも香辛料が効いているから、常温で放置していても大丈夫? 田中先生に真偽のほどを確認した。
■作りおいたカレーには、微生物が再活動しやすい温度と水分がある
核心に迫るまさにその前に、じゃがいもをいれると腐りやすいとも聞くがそれは本当なのだろうか。聞いてみることにした。
「基本的にはじゃがいもが入っていようとなかろうと、腐敗の進行に差はありません。素材に付着している、または切る過程で混入する微生物の多くは加熱により死んでしまいます。ただし、微生物の一部は混入時において耐熱性の大きい胞子となっている場合があります。この場合は室温に戻ったのちに増殖を開始しますので、長時間経過すると腐敗します」(田中先生)
カレーを冷ましている過程で、微生物が再び活動しやすい環境が生まれる可能性があるということなのだ。
カレーを冷ます過程で腐るリスクが高まってしまうようだが、何か予防策はないのか。自分でもよくカレーを作るという管理栄養士の村上安曇さんにも話を聞いてみた。
■フタはある程度冷めてから、再加熱は中心までしっかり火を通す
「カレーは粘度があるので冷めにくく、常温に放置されている間に微生物が活動し始めてしまうと考えられます。私はある程度冷めてからフタをします。また再加熱するときは、ぐつぐつ煮立った状態で1分以上しっかり火を通すことが必要です」(村上さん)
日中の気温が30℃を超えるような日は、カレーの温度も下がりにくいが、香辛料の一部には殺菌作用もあると村上さん。それもあってすぐには腐敗しないそうなので、ある程度冷ましてから冷蔵庫へ入れればよいとのこと。また再加熱の際に、ルーの部分だけでなく中までしっかり火を通すことも大切だという。どれもごくごく当たり前のことであるが、徹底することが大事なのだ。
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