日向で雪遊び

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読参~「機動戦士ガンダム・一年戦争史」~第1回 巨兵達の宴

2008年01月26日 | 読参小説(ガンダム 一年戦争史)
●戦う意思を
「落ちつかねぇ、みてぇだな。ひよっこ」

飄々とした様子で現れたカトゥー・トン中尉が、トウヤ・ユキギリ伍長の肩を叩いた。
どうやら、不安が外に漏れていたらしい。普段ならひよっこといわれて多少の反発をするが、今は平静を装って取り繕うだけで限界だった。
しかし、浅黒肌のこの中尉殿には、そんな物は無駄である。

「中尉。自分は・・・」
「無理すんなよ。仕方がねぇこった。実戦はこれが初めてみてぇだしな。誰だって初めは怖いもんさ。俺だってそうだった」
「中尉・・・」
「ふん。なぁに、安心しとけ。俺たちの乗る物はなんだ? 連邦にはないMSよ。
既にMSは結果を叩きだしている。びびるこたぁ、何一つありゃしねぇ」

軽くおどけたその様に、思わず気が緩む。そして、同時に楽となった。

≪パイロットはMSデッキへ。繰り返す。パイロットはMSデッキへ≫

反射的に見上げる二人。流れた艦内放送が、やがて訪れる戦争をさらに感じさせる。
戦いは、近い!!

「来たかい・・・行くぞ、ひよっこ! これを乗り越えれば一段落だ。ちゃっちゃと戦争を終わらせるぞ!!」
「はい!!」

先程までの不安は既にない。あるのは次第に強くなる戦闘意思。
全てはこの人が吹き飛ばしてくれた。
トウヤは胸の内で敬礼をすると、中尉とともにMSデッキへと向かう。
戦いの場所、ルウムに備えるために。



●ルウムの海
「戦闘機か!? くっ、落ちろぉーーーーー!!!!!!」

敵機からの機関砲!? 
耳障りな警告音を無視し、トウヤは愛機・MS-06Fの120mmマシンガンを乱射させる。
その何発かが目の前の戦闘機、セイバーフィッシュへと注がれ、爆と散らせた。
レーダーの発達により、最早、来ることはないであろうと言われた有視界戦闘。しかし、ミノフスキー粒子がそれを可能にした。
その恩恵を存分に受け、縦横無尽に飛び回るMS達。それは、従来の宇宙空間での戦闘概念を覆した象徴である。
更に迫りくるセイバー。バズーカで軽くけん制し、マシンガンで薙射。そこに仲間からの援護も加わり、次々に駆逐していく。

『大丈夫か。焦り過ぎだぞ』
『はい、ありがとうございます!!』

ガシャン、敵が見えなくなった後、接触回線による通信だ。軽口のように聞こえるも、通信相手には顔に汗が浮かび、若さが見える。
同じく新兵なのだろう。
恐らく、自分もあんな顔なのだろうかと軽い親近感を感じつつ、次の行動へと操縦桿を傾ける。

(コロニーさえ上手く落とせれば、こっちの勝ちだ!!)

ブリーフィングルームでの作戦概要が頭をよぎる。
今回の戦略はコロニー落下によるジャブローの消滅。
資源の乏しいジオンには、常道では勝ちようがない。連邦との物量の差は30:1とも言われている。
向こうが完全に戦争へとシフトすれば、あっという間に潰されるだろう。
その前に、有利な戦況で戦えるうちに、これを一気に叩く!!


―――――しかし―――――


『生きてたな、ひよっこ!! それはそうと作戦変更が出た!! コロニーはもう無理だ!!』
『なんですって!!?』

ヒートホークを2丁装備した機体が現れる。
よく見なれたそれは、格闘に特化させたトン中尉の機体だ。

『だからその分の代金はレビルに払ってもらう。ツケは高いぜぇ!! 行くぞ!!』

勝利の女神は、そう簡単に微笑んではくれないらしい。
歯噛みしつつ、トウヤは更に死地へと機体を走らせる。そう、中尉の言うとおり、ツケは高い。
その分は是が非でも払わせる! それが無理なら力づくで奪い取ってやる!!


―――――次回、地球降下作戦発動



●今回のおおざっぱな結果報告
・ジオンサイド
コロニーの落下に失敗。
レビルを黒い三連星が捕獲。

・連邦サイド
ルウム戦役で散るはずだったカニンガム提督が生存
艦隊が大幅な打撃。
レビル捕獲。後、脱出し、「ジオンに兵なし」の演説で戦争継続

南極条約が締結される。




とまあ、ほぼ史実通りの結末だった第一回でございます。
それはそうと、カニンガム提督って誰やねん。今でもそう思うときが(オイ)

・キャラクター紹介
トウヤ・ユキギリ伍長
19歳の新米。
怖がってたけど、なんだかバシバシ撃ってた人。バキューン!!

カトゥー・トン中尉
浅黒肌のおっさん。
射撃もできるけど、格闘スキー。



※尚、この回の結果は「ゲームギャザ 1999:11月号 vol.3(HOBBY JAPAN)」に収録されたものとなります。

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