国立中学受験専門 ひのき塾

国立中学受験専門塾として、様々な情報を発信してまいります。

奈良女子大学中等教育学校 令和5年入試を占う②

2022-12-21 16:30:07 | 研究

前回のブログでご確認いただいた受験者数と合格者数の推移を再度ご確認ください。

前回は合格者数の減少についてお話しさせていただきましたが、今回は受験者数に注目したいと思います。少子化の影響で受験者数が減少傾向にあるのは、多くの学校で見受けられる現象です。奈良女も例外では無く、10年以上前と比べるとかなり減少しています。

このような状況下において令和4年の奈良女入試は、驚くべきものでした。男女とも前年を上回る受験者となり、特に男子においては直近6年間で最も多い人数となりました。この動きは令和4年だけのものなのか?または、ある程度、継続的なものなのかが気になるところです。

駸々堂テストの直近3年間を比較してみます。第2回から第5回までの4回のテストに注目し、奈良女子大附中を第1志望にしている生徒の人数とその子たちの偏差値の平均値を年度ごとに算出し、男女別に比較してみました。

人数も偏差値も今年が最も多くなっています。(しかも僅差ではない状態で・・・)

これには驚きました。

大手塾の生徒は駸々堂を受けていないことが多く、このデータだけで断定することなどできませんが、令和5年の男子入試は難しくなりそうな気配です。受験者数が増加し、合否のボーダーラインも上がりそうな勢いです。

女子も男子と同じような流れにありますが、人数が大きく伸びているのに対し、受験者の偏差値は例年とあまり変わっておらず、男子ほど難化しそうな勢いは感じられません。(男女の偏差値がここ数年接近してきたことに注目です。)

ご存知のように奈良女入試は、表現力が問われます。答えよりプロセスが重視される入試となります。ですので、駸々堂テストの偏差値分布で合否ラインの特定は難しいところがあります。偏差値70近い生徒が不合格となり、私どもの生徒のように偏差値56の生徒が合格するということがおこるのはこのためです。この辺りを踏まえて合否結果(駸々堂受験者)をご覧ください。

男子は、「偏差値60」このラインを超えていて、表現力が一定程度備わっていれば合格の可能性は高いと言えそうです。

駸々堂テストは連絡進学入試の生徒も受けますが、一般生と区別できていません。附小生はテスト科目が国算の2教科のため、全科の偏差値は伸びず、低い偏差値での合格となってしまいます。男女とも合格者の偏差値平均が下がっており、易しくなっているように見えているのはこのためで、実際とは少し乖離しています。

女子は「偏差値63」の学力を持ち、一定程度の表現力を保持していれば、合格の可能性はかなり高まるのではないかと考えます。

 


奈良女子大附中 令和5年入試を占う①

2022-12-10 15:50:38 | 研究

令和5年の奈良女入試がどのようなものになるか検証してみたいと思います。

まず初めに、令和4年入試を振り返ってみたいと思います。連絡進学入試ですが、ここ数年女子は安定しており合格者は19名で推移しています。令和5年入試も大きく変動することはないものと考えます。ただ、男子は読めません。女子に比べ安定しておらず年によって6名の差が出ています。連絡進学の場合、受験者数に応じて一定の割合を保って合格者数を決めているわけではないので、あくまで内申と23日のテスト結果に基づいて判断されることになります。ひのき塾の塾生に最高のクリスマスプレゼントが届くことを願うばかりです。

一般入試ですが最近変化が起こっています。合格者数が以前に比べ明らかに絞られています。募集人数は変わっていません。連絡進学の合格者が増えたわけでもありません。では、なぜ合格者数が絞られてきているのでしょうか?

私は、追加合格者の取り扱いによる変化と考えます。以前、奈良女は、合格辞退者を一定程度見越したうえで合格者を出していましたが、この方法だと入学者数を一定に保つことが困難であったと考えます。合格辞退者が年度によって異なるのは当たり前のことで、辞退者の人数を予測するなどということはとても困難なことです。以前は、受験生に奈良女以外の受験校や第一志望校を問うようなアンケートを実施していた時期もありましたが、決定的な方法ではなかったようです。

このような経緯から、奈良女は、必要最小限の合格者を発表し、辞退者が出るたびに追加合格を出していくという他の国立中学校と同様の方法に切り替えたため、合格者数が絞られたように見えるというのが本当の所なのではないでしょうか。

奈良女は、合格発表の翌日から追加合格者候補へ、封書にてその旨の連絡をします。そこには順番も示されており、1番から順に追加合格の連絡が入る仕組みになっています。今春は男子が10数名、女子が若干名でした。

このような経緯を経て、令和5年入試はどのようになっていくのでしょうか?次回のブログではこの部分に踏み込んでいきたいと思います。


大阪教育大学附属天王寺中学校 令和5年入試を占う②

2022-12-06 22:55:33 | 研究

今回のブログでは、来年度の令和5年入試の展望を推測してみたいと思います。

前回のブログで、令和4年入試から新しく導入された教科横断型の検査テストを、「男子は少し敬遠し、女子は概ね肯定的に捉えた」と申し上げましたが、その流れが令和5年入試にどのように表れてくるのかが興味深いところです。

駸々堂テストの第2回から第5回までの動きを直近3年間で比較してみました。比較したのは、附天中を第一志望にあげている生徒の人数とその子たちの偏差値を各年度ごとに第2回から5回までの平均を出したもので、これらを男女別に整理してみました。

男子ですが、2020年から2021年にかけて人数が、63.3人⇒52.8人と大きく減少しており、これが入試本番においても同様の結果になったことは既出のブログでご紹介した通りですが、この人数が2022年度においては、「67人」と大きく増加しており、これは3年間で最も多いものとなっています。令和5年入試の男子は、受験者数が増加しそうです。では、難しくなるのか?この点についてはそれほどでもなさそうです。もちろん人数が増えれば難化するのは道理なのですが、2022年度の偏差値の平均は、さほど伸びておらず逆に3年間で最も低いものとなっています。これは附天中入試の敷居が低くなったともいえ、様々な学力層から挑戦しやすくなったと捉えることもできそうです。副教科実技のテストを廃止し、新しく検査テストに切り替えたことの効果が表れていると言えるかもしれません。

女子は、男子と異なる動きを示しています。2021年入試では、いきなり新しい検査テスト導入の効果が現れた感じでしたが、2022年の駸々堂テストではその勢いを感じることはできません。実は、附天中の女子の受験者数はここ数年減少傾向にありました。男子は増加傾向にありその差が接近していたというのが令和3年入試までの流れであったので、その流れに戻る方向に動きそうな気配です。令和5年入試の女子の受験者数は、令和4年ほどにはならないと思います。では、易しくなるのか?人数が減れば易か傾向に動くのは道理なのですが、受験生の偏差値の平均は昨年より上がっています。一昨年入試に近いものとなりそうです。


大阪教育大学附属天王寺中学校 令和5年入試を占う①

2022-11-16 15:22:47 | 研究

今春2次試験の実施方法を大きく変更した附天中ですが、教科横断型の検査テストへの変更によってどのよう変化が起こったのか?令和5年入試は、どのような様相を示すのか検証してみたいと思います。

まずは、令和4年入試を振り返ってみたいと思います。以下のグラフは、直近の受験者数と合格者数の変化を男女別に表したものです。

男子ですが、近年で最小の受験者数となったH.31年入試からV字回復を果たし、R.3年入試では女子の受験者数に迫る勢いを受けてのR.4年入試であったのですが、結果的に元に戻ってしまった感があります。合格者数は、ここ数年ずっと安定しており62名±1名となっています。女子は割と変動していることから、奈良女と対照的との印象を受けます。受験者数が減っても成績下位層が中心であれば入試の難易度は変動しませんが、R.4年入試では満遍なく減少していたようで、R.3入試に比べ少し易しかった印象を受けました。

女子についてですが、附属小学校からの連絡進学希望者が男子に比べ多いこともあり、例年女子の合格者数は、男子の約75%というのが通例です。R.3入試の53名は、特別な事例と判断するのが妥当だと考えます。R.4年の女子入試は、3年ぶりに受験者数が200名を超え、昨年に比べ活況づきましたが、合格者数は例年並みに戻ってしまったので、女子の受験生にとっては厳しい入試となり、結果的に昨年に比べ難化したとの印象を受けました。

次に、競争倍率に注目してみましょう。

H.31年入試から3年かけて縮まって来ていた男女差でしたが、今春入試では大きく反発したような印象を受けます。新しく導入した検査テストへの是非が、男女で異なったとみることができると思います。この流れが、合否のボーダーラインにどのような影響を与えたのでしょうか。駸々堂テストの結果を男女別にまとめてみました。

駸々堂テストは、連絡進学と一般入試を分けて処理をしていないので連絡進学の合格者が少なからず含まれています。よって一般入試だけの合格者平均はもっと上がってきます。私が注目いただきたいのは、偏差値59以上の生徒から不合格者がカウントされていない点です。もちろん全数調査ではないので、偏差値59以上の生徒が全員合格しているわけではないのですが、奈良女に比べボーダーラインがはっきり出るのが附天中の特徴と言えます。

女子も男子と同じく、連絡進学者を少なからず含んでいますので、一般入試だけの合格者平均はもっと上がってくると思えます。男女を比較するとやはり女子の難しさが際立ってきます。R.4年入試の女子のボーダーラインは、偏差値61と見ます。

この流れを受けて、R.5入試はどのような様相を示すのでしょうか?次回のブログではこの辺りに踏み込んでみたいと思います。


大阪教育大学附属天王寺中学校 令和2年入試を占う①

2019-11-28 02:07:07 | 研究
令和2年の附天中入試から、体育実技の実施種目が変更されました。今までの実施種目の中から、「鉄棒」「シャトルラン」「ハードル走」がなくなり、

「40m走」「マット運動」「立ち幅跳び」「サッカー」「バスケットボール」

の5種目からの実施となります。

今までほとんど実施種目となることがなかった「シャトルラン」等がなくなるのは納得できるのですが、頻繁に実施種目となっていた「鉄棒」が無くなったのは衝撃でした。安全面での配慮が理由なのかもしれません。一生懸命に逆上がりの特訓を続けていた、ひのき塾の塾生は、この一報に悲喜こもごもといった感じで、中には今にも泣き出しそうな子もいました。(努力は決して無駄ではないよ。)

令和2年の附天中入試は、どのようなものになって行くのでしょうか?

まずは今春のH.31入試までを振り返ってみたいと思います。

まず、受験者数の変遷をご確認下さい。
男子 受験者 合格者
H.28   203名 64名
H.29   197名 62名
H.30   165名 62名
H.31   155名 61名

女子
H.28   221名 49名
H.29   220名 45名
H.30   196名 47名
H.31   208名 48名

男子の受験者数は、明らかに減少傾向に入っています。女子は下げ止まり感を漂わせながら200名前後で落ち着いているといった感じです。児童数の減少や選択肢の増加などの理由から今後大きく増加することはまず無いと思えます。ただ、以前から申し上げているように附天中の場合、近年

「量が減って質が高まる。」

という傾向にあるのは事実です。合格者数は男女ともずっと安定しているので、令和2年入試も

男子60+α 名   女子50ーα 名

の合格者は見込めると思います。合格者数の絞り込みによる難化は考えにくいので、やはり

「質の高まり」

が気になります。次回のブログでは、この辺りに踏み込みたいと思います。