いまNHKの土曜ドラマで放送されている。
ちょうど、本邦では今日が第2話の放送である。
この原作について、年末に書評を執筆したのだが、先日、北京で発行され
ているあるフリーペーパーの2月号に掲載された。
昨年夏に書店で偶然手に取り、買い求めて読んだものだが、ドラマ化され
ると知り、他の本を取り上げる予定だったものを急遽変更した。
1月4日に書き上げた、本年の初仕事でもあった。
以下、約550字、掲載するので、ご笑覧いただき、ご意見などお聞かせ
願えたら幸いである。
『限界集落株式会社』
(小学館文庫 黒野伸一 著)
1月下旬放送開始NHKドラマの原作。
限界集落。その定義を知らずとも概ね見当がつくだろう。
一言で言えば、近未来に消滅する集落のことだが、この言葉以上に、人口減
により900近い自治体が消滅するとの昨年5月の調査報告をご記憶の方も多
かろう。
さて、東京育ちの主人公は、起業のためにIT企業を退職し、亡祖父の家で充電
するつもりが、村での様々な出会いを経て農業での起業を思い立つ。
東京と地方、資産家とそうでない者、農業に悲観的な者とそうでない者、行政
・農協とその枠からはみ出す者、老若、男女といった様々な対比軸を通じて物語
は進行していく。主人公を含む3人の主要登場人物の視点で時間軸を進める展開
により、そうした対比が一層鮮明になってくる。
なんら取り柄のない地域・人間と思われていたものが、内に秘めた力を発揮、
東京や社会に挑んでいく。本作は農業、農村に関する夢物語だが、絵空事でない
現実味のある筋書きとなっており、作者の周到な下調べが窺われる上質の娯楽作
品に仕上がっている。
なお、先に「そうでない者」といった表現を使ったのは、悲観と楽観のような
単純な対比だけが正解ではないということが、本書のメッセージの一つだと思っ
たからである。
ちょうど、本邦では今日が第2話の放送である。
この原作について、年末に書評を執筆したのだが、先日、北京で発行され
ているあるフリーペーパーの2月号に掲載された。
昨年夏に書店で偶然手に取り、買い求めて読んだものだが、ドラマ化され
ると知り、他の本を取り上げる予定だったものを急遽変更した。
1月4日に書き上げた、本年の初仕事でもあった。
以下、約550字、掲載するので、ご笑覧いただき、ご意見などお聞かせ
願えたら幸いである。
『限界集落株式会社』
(小学館文庫 黒野伸一 著)
1月下旬放送開始NHKドラマの原作。
限界集落。その定義を知らずとも概ね見当がつくだろう。
一言で言えば、近未来に消滅する集落のことだが、この言葉以上に、人口減
により900近い自治体が消滅するとの昨年5月の調査報告をご記憶の方も多
かろう。
さて、東京育ちの主人公は、起業のためにIT企業を退職し、亡祖父の家で充電
するつもりが、村での様々な出会いを経て農業での起業を思い立つ。
東京と地方、資産家とそうでない者、農業に悲観的な者とそうでない者、行政
・農協とその枠からはみ出す者、老若、男女といった様々な対比軸を通じて物語
は進行していく。主人公を含む3人の主要登場人物の視点で時間軸を進める展開
により、そうした対比が一層鮮明になってくる。
なんら取り柄のない地域・人間と思われていたものが、内に秘めた力を発揮、
東京や社会に挑んでいく。本作は農業、農村に関する夢物語だが、絵空事でない
現実味のある筋書きとなっており、作者の周到な下調べが窺われる上質の娯楽作
品に仕上がっている。
なお、先に「そうでない者」といった表現を使ったのは、悲観と楽観のような
単純な対比だけが正解ではないということが、本書のメッセージの一つだと思っ
たからである。