「みなさん!こんばんは!、今日は同級生として挨拶したいと思います!」
僕は大きい声でそう言うと体の向きを変えて挨拶を続けた。
「ミハラッ!、キサマはカッコイイッ!キサマは立派だッ!」
「しかし、、キサマの応援は、、骨が折れるっ!、、、心の骨が折れるっ!、、、真剣にやればやるほど折れる、、、痛ぇんだぞっ!」
「オレはいつも、、笑っているけど、、我慢も限界だ!もうボロボロだ!」
「オフクロさん、、この選挙期間中に10歳は歳をとったっ!、、キサマのオヤジさん、、止めたタバコを始めて、暗がりでオレに呟いてた!」
「このトシになって、なんでこんなことを、、、って、、ごもっともっ!」
ミハラは父親がタバコを始めたことを知らなかったらしい、一瞬だが表情に変化があった。馬鹿野郎めがっ!本当にバカヤローめがっ!こんな気が利かん男にっ!熱いものがこみ上げてきた。言葉が震え始める。
「キサマは本当に世話が焼ける男だっ!」
一呼吸おいて続けた。
「キサマに渡したいものがある!、、、金メダルだっ!!」
上着のポケットからプラスティックケースに入ったメダルを取り出した。
「うちの息子が初めてとった金メダルッ!、、、野球の九州チャンピオンッ!!」
支援者の多くは、ここまで、僕の一言づつに温かい笑いと拍手で応えていたが、このときは感嘆の声が漏れた。
「この大会はなぁ、、木嶋市議先生と二人三脚で企画した大会、、いろんな人に世話になった、、阿蘇でやった大会、、、、たくさんの企業に協賛してもらったぁ、、、必死になってぇ、、チームの保護者の人たちとやった、、、」
息を吸った。一気に語気を強めて渾身の力で叫んでやった。
「しかしっ!、、、一番頑張っていたのは子供達だっ!、、だから、このメダルは、、、重いんだぞ!、、、キサマにやるっ!」
しかし、すぐには渡さなかった。勝山を呼んだ。
勝山は事務所の右隅の奥で撮影を行っていた。人ごみで壇上に来るまで時間を要した。
「カツヤマ、お前がやってくれ」
メダルと共にその後の一切を勝山に託した。
勝山は壇上に上り三原にメダルを掛けてやった。そして、短い挨拶のあとに「応援団長」としてエールを切った。
その一部始終は全国へ中継されていた。この地方都市の第一選挙区は、今回の第46回衆議院議員選挙前から注目されていた。週刊各誌は3期にわたって議席を確保していた対立候補者のスキャンダルや解散直前まで破竹の勢いだった新党「帝国維新の会」への鞍替え行為を何度も掲載していたのだった。従って、各局はそのヒール的前衆議院議員に勝利した三原候補の肉声を一刻も早く茶の間に伝えたかったのかもしれない。
しかし、各局には誤算があった。現場には伝わっていたのだろうが、花束贈呈の後の新代議士インタビューが当初のスケジュールだったのだ。そこへセレモニー開始の直前になって余興的サプライズが入ったのだ。聞くところによれば、スタジオのキャスターはこの模様に困惑の様子だったらしい。
三原代議士は、当確をいち早く報道した民放局の若手女性アナウンサーのインタビューを受けた。そして、その女性アナウンサーは三原代議士と同じ「出身」の高校の後輩だった。
続く、、、
僕は大きい声でそう言うと体の向きを変えて挨拶を続けた。
「ミハラッ!、キサマはカッコイイッ!キサマは立派だッ!」
「しかし、、キサマの応援は、、骨が折れるっ!、、、心の骨が折れるっ!、、、真剣にやればやるほど折れる、、、痛ぇんだぞっ!」
「オレはいつも、、笑っているけど、、我慢も限界だ!もうボロボロだ!」
「オフクロさん、、この選挙期間中に10歳は歳をとったっ!、、キサマのオヤジさん、、止めたタバコを始めて、暗がりでオレに呟いてた!」
「このトシになって、なんでこんなことを、、、って、、ごもっともっ!」
ミハラは父親がタバコを始めたことを知らなかったらしい、一瞬だが表情に変化があった。馬鹿野郎めがっ!本当にバカヤローめがっ!こんな気が利かん男にっ!熱いものがこみ上げてきた。言葉が震え始める。
「キサマは本当に世話が焼ける男だっ!」
一呼吸おいて続けた。
「キサマに渡したいものがある!、、、金メダルだっ!!」
上着のポケットからプラスティックケースに入ったメダルを取り出した。
「うちの息子が初めてとった金メダルッ!、、、野球の九州チャンピオンッ!!」
支援者の多くは、ここまで、僕の一言づつに温かい笑いと拍手で応えていたが、このときは感嘆の声が漏れた。
「この大会はなぁ、、木嶋市議先生と二人三脚で企画した大会、、いろんな人に世話になった、、阿蘇でやった大会、、、、たくさんの企業に協賛してもらったぁ、、、必死になってぇ、、チームの保護者の人たちとやった、、、」
息を吸った。一気に語気を強めて渾身の力で叫んでやった。
「しかしっ!、、、一番頑張っていたのは子供達だっ!、、だから、このメダルは、、、重いんだぞ!、、、キサマにやるっ!」
しかし、すぐには渡さなかった。勝山を呼んだ。
勝山は事務所の右隅の奥で撮影を行っていた。人ごみで壇上に来るまで時間を要した。
「カツヤマ、お前がやってくれ」
メダルと共にその後の一切を勝山に託した。
勝山は壇上に上り三原にメダルを掛けてやった。そして、短い挨拶のあとに「応援団長」としてエールを切った。
その一部始終は全国へ中継されていた。この地方都市の第一選挙区は、今回の第46回衆議院議員選挙前から注目されていた。週刊各誌は3期にわたって議席を確保していた対立候補者のスキャンダルや解散直前まで破竹の勢いだった新党「帝国維新の会」への鞍替え行為を何度も掲載していたのだった。従って、各局はそのヒール的前衆議院議員に勝利した三原候補の肉声を一刻も早く茶の間に伝えたかったのかもしれない。
しかし、各局には誤算があった。現場には伝わっていたのだろうが、花束贈呈の後の新代議士インタビューが当初のスケジュールだったのだ。そこへセレモニー開始の直前になって余興的サプライズが入ったのだ。聞くところによれば、スタジオのキャスターはこの模様に困惑の様子だったらしい。
三原代議士は、当確をいち早く報道した民放局の若手女性アナウンサーのインタビューを受けた。そして、その女性アナウンサーは三原代議士と同じ「出身」の高校の後輩だった。
続く、、、