1969/04/09に生まれて

1969年4月9日に生まれた人間の記録簿。例えば・・・・

また観に行こう「火の国サラマンダーズ」

2022-03-30 22:18:29 | 火の国サラマンダーズ
正月休みが終わったと思ったら、仕事がら毎年のことだが怒涛の年度末に突入。3月末の今頃から少しだけ精神的余裕がでてきてブログでもしてみようかという気持ちになる。

実は、2月の休日のある日、「火の国サラマンダーズ(熊本県のプロ野球チーム)」のキャンプを観に行ったのだった。
そこで感じたのは、選手達の野球が好きで好きでたまらないという野球愛のようなものだった。ひょっとしたら、彼等は三度のメシより野球が好きなのではないかと思ってしまったのだった。失礼かもしれないが、屈託なく練習に励む彼らに、野球を覚えたての少年の姿が重なって見えた。だから、シーズンに入って彼らがどんなゲームをするのかとても興味が湧いたのだった。

開幕3連戦の最終日、桜が満開の熊本城内を巡ったあと藤崎台球場へ。
先ず驚いたのは、入場からしっかりとエンターテイメント化されたサービスシステムとなっていたことだった。ゲートではチアのサリーズの女の子がお出迎え、「とかげの祭典」と題して、「さら丸」のクッションのプレゼント。日除けかつ応援グッズにも使える折りたたみ式の選手名鑑ボードも貰えた。

さて、肝心のゲームはどうだったかというと、両チームの投手たちが乱調気味で決して締まりのあるゲームと呼べるような内容ではなかったけれど、そこは彼らの野球技術からすると目をつぶらなければならない部分なのだろう。彼らはNPBの選手ではないのだ。
しかし、木製バットが放つ乾いた打球音やグラブから聞こえる小気味良い捕球音、大空に放物線を描く飛球や土や芝を転がる白球。そして、それを一生懸命追って、捕まえ、投げる選手たち。それが「野球」というものなのだが、コロナ禍で高校野球も観戦できなかった自分は久しぶりに「野球」を楽しむことができた。
そして、火の国サラマンダーズの試合を観て、NPB野球や高校野球(地方予選等)とは違ったエンターテナー性(楽しみ方)に気がついた。

NPBは、野球をかじったことのある一般人にとっては別世界、夢の世界の野球としての楽しみ方になる。簡単に言うと「あんなタマは投げれんスゲー、あんなプレーはしきらんスゲー、あんなタマは打てんスゲー、カッケーっ!」ってなかんじだ。当然、観戦料は高価となる。そして観る側の気持ちが強ければ強いほど、酷いプレーや負け試合にネガティブな感情が湧いてしまう。

かたや高校野球は、プレーの「清々しさ」、「はつらつさ」に目がいきがちだが、イメージとしては「青春」という言葉に代表されるような若さの象徴、果ては教育的な側面としても取り扱われていたりして、「野球」以外のなんだかややこしい理解も観る側に求められる。加えて、子どもの野球に長年携わったことがあるような親には、選手の本当の気持ちやその向こう側の人々の思惑も見えたりして、重たい気分にならざるを得ないのも事実だ。

ひるがえって、「火の国サラマンダーズ」の野球はどうか。結論から言うと、「身近」で「お気楽」で「安い」。つまり、どう転んでも「野球」を楽しめるのだ。エラーや多少のフォアボールがあっても許容できるし、時々、スパープレーやホームランが見られればもう十分という気持ちになれる。
そして、ナニヨリ、彼らの「野球」が、我々のような愛おしい庶民の「仕事」や「暮らし」を写している鏡のように見えたことに、強い「身近」さを感じてしまったのだ。

我々のような特別な能力や才能もない一般庶民は、成長につれて己が「プロ野球選手(NPB選手)」にはなれないことを知る。そして身の丈にあった仕事や生活を送ることになる。ただ、与えられた持ち場で、それぞれが惜しみない努力と責任を果たそうと奮闘する。中にはワールドクラスのエンジニアやビジネスマンになれる人もいるだろう。しかし、多くの人は日々の生活に追われながら、その日の仕事を粛々とこなしていくことで精一杯だ。仕事はいつも上手くいくとは限らない。ミスもあれば失敗もある。たまに成功して少しだけ賞賛される。これらが、我々の愛すべき日常だ。

試合が終わり、この3連戦で3ホームランを放ったモタ選手へのMVPの副賞は青柳の1万円のお食事券だった。ヒーローインタビューの時に目録のボードが渡された。約600人の温かい拍手がグラウンドに響きわたった。

スタンドの外に出ると、出口には泥に汚れたユニホーム姿の選手たちが充実の笑みを湛えてズラリと並んでいた。来場者をお見送りしていたのだ。

私は被っていた帽子をとり
「お疲れ様でした、お疲れ様でした、、、、」と言って頭を下げながら彼らの前を通過した。

また、観にこようと思った。



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