小さくておいしいお惣菜屋さんで働く3人の女性のたまらなく愛おしい人生。
幸福な記憶も切ない想いも料理と共にあった。
3人の女性はもう若くなくて私より10歳くらい上の人たちばかり。それぞれ生きた人生の時間、色々なことがあった。そして3人ともたまたまシングル。離婚・死別・独身。
こういうの読むと何でもなさそうなその辺のおばさん(失礼!)にも色々あるんだなと思う。外からは分からないけどね。確かに一昨年、短大の同窓会で再会した友達も波乱万丈の人生を送ってた。
この小説には色々な料理が出てくる。その料理と思い出と状況をからめながら物語は進む。
ゆりね入りひろうす、あさりフライ、豆ご飯、とうもころこしのつけ焼き、その他色々。
季節が変わればその時の旬の食材が出てきて、この3人が「どうしようか?こうしようか?」と話し合うシーンもまたよだれが出そうにおいしい。
そして1人がその年になって(ほんまに失礼)恋愛・結婚へと進む過程も描かれている。そのドキドキやウキウキや恥じらいは乙女と一緒だけど、年を重ねてるだけあって現実を直視したりよく考えたりもするんだけど。
おいしくて楽しい小説。