三流読書人

毎日の新聞 書物 など主に活字メディアを読んだ感想意見など書いておきたい

ドングリ小屋住人 

茶の花

2008年11月08日 09時41分37秒 | Photo

 《 茶の花 
 庵のまはりには茶ノ木が多い。五歩にして一株、十歩にして又一株。  私は茶の木を愛する。その花をさらに愛 する。私はここに移ってきてから、ながいこと忘れてゐた茶の花の趣至に心を引かれた。
 捨てられることもなく捨てられてゐる茶ノ木は『侘びつくしたる侘人』の観がある。・・・・中略・・・・・ 茶の花に隠遁的なものがあることは否めない。また、老後くさいものがあることもたしかである。
 年をとるにしたがって、め うが、とうがらし、しょうが、ふきのとうが好きになるやうに、茶の木が、茶の花が好きになる。 
 しかし、私はまだ茶人にはなっていない。幸にして、あるいは不幸にして。
 梅は春にさきがけ、茶の花は冬を知らせる(水仙は冬を象徴する)。
 茶の花をぢっと観てゐると、私は老いを感じる。人生の冬を感じる。私の心身を流れてゐる伝統的日本がうごめくのを感じる。

   茶の花や身にちかく冬が来てゐる   》  

 種田山頭火の「草木塔」のなか、随筆の一文。俳句は好きだけど随筆も良い。
 衒いがなく素直な感覚だと思う。 
 こうして老いてゆくか。

 山道の散歩の途中、携帯電話のカメラ。写真のできはともかく。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿