4回にわたり、ロジャースの心理療法の必要かつ十分な6つの条件の自己事例を紹介してきた。1958年の50年以上の前のことであるが、とても思い出深かった。そのアラスカの女性の先生(ネイティブだと思うが・・・)とは、その思い出深い出会いから2-3日後、父の意向もあり小学校を変わることで、突然お別れすることになった。
何故変わったかは、父も亡くなり、今となっては謎といってよいが、何らかの事情でマイノリティ中心の小学校に入ったが、許可がおりて近くの小学校に移ることが出来たのだと思う。
ただ、その女性の先生が、私が小学校を去ることを告げられたときの、悲しそうな顔を忘れられない。そして、彼女からは別れのプレゼント(白墨など)まで頂いたのである。名前も覚えていない先生ではあるが、今はどうされているのだろうか。
ちょうど、その出会いがあった1950年代に、丁度カール・ロジャースが、心理療法の必要かつ十分な6つの条件を発表している。カウンセリングが世界的にポピュラーになっていく大切な理論だったと思う。その理論を、女性の先生が知っていたかどうかは不明だが、もし知っていたらと思うと不思議な気になる。
もう一度、原文の6つの条件を以下に掲載してみる。難しい表現ではあるが、より詳しい解説はどうぞ「生き甲斐の心理学」2章等をご参照ください。
(1) 二人の個人が、心理的接触の状態にある。
(2) クライエントと呼ばれるその中の一人は、不調和の状態にあり、傷つけられやすく 、または不安の状態にある。
(3) 治療者と呼ばれる第2の人は、その二人の関係の中で調和を保ち、統合された 状態にいる(純粋と一致)。
(4) 治療者はクライエントに対して、無条件のPositive Regard(好意、肯定的な配慮と関心)を経験する。
(5) 治療者はクライエントの内的枠組についてのempathic(共感的、感情移入的)な理解を経験し、この自らの経験を、クライエントに伝達しようと努力する。
(6) 治療者の感情移入的な理解と、無条件の肯定的な関心が、ある最小限度、クライエントに伝達される。
(佐治守夫著『カウンセリング入門』国土社P.171より)<o:p></o:p>
ロジャースが自分でも述べているが、この6つの条件があれば、クライアントに建設的な変容が起こるとしている。また、心理療法の場であっても、そうでなくても起こるとしている点も楽しい。
6つの条件が、自分や大切にしている人にとって、本当に大切であることを実感するには、いろいろな方法があると思う。その中で、自己事例を考察するのも良いと思うが、小説や伝記、聖書などの古典に持っている話を事例と解釈して分析してもおもしろい。
さて、私は創造のプロセス(創造工学)や品質管理などにも若い時に興味をもち今日にいたっているが、こうした条件やプロセスを知ることは、極めて大事であるが、それを応用して世のために使う段になると、多くの人が脱落してしまう姿も見てきた。そこを何とかしたいというのが、私の夢である。
如何にこの6条件・プロセスを実現していくか。その対象は、掛買いのない自分自身の生き方であるかもしれないし、身近な大切の人の援助かもしれない。
次回から、その実現方法の一つとして「生き甲斐の心理学」の傾聴について考えてみたい。
(こころの援助を考える⑦(1億2千万人のための生き甲斐の心理学) 8/60)
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