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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

過去を明るく解釈するための旅行を!(心と心をつなぐ 9/10)

2012-02-15 | 第八章「魂と聖霊」

 自分史を宇宙の起源の137億年前から始めるか、地球の生命の起源とされる40億年前から始めるか、常識的に地上に生まれおちた60年前にするか・・・いろいろあると思われるが、誕生してからの成育史がもっとも意味深い気がする。そして、変な話かもしれないが、死ぬ時に自分のすべての成育史が肯定的に解釈でき、自分の人生を心の底から肯定的に振り返ることができればどんなに良いだろうか。

 今回の中欧の旅行も、実は自分の成育史の肯定的再解釈の希望があった。

 もう一昨年になるのか知人から教えていただいた、春江一也氏の中欧三部作(プラハの春、ベルリンの秋、ウィーンの冬)を読み、それが今回の旅行のきっかけになっていたが、その中でも「プラハの春」で思い掛けず、カフカの話が出て来たのを運命的に感じていた。

 勉強不足で恐縮だが、どういう訳かチェコがビロード革命で解放されるまでは、カフカは禁書だったそうである。そして、カフカはチェコ解放に精神的な役割をしたのかもしれない。それが何かは良く分からないが。そんな興味であった。

 私にとって、カフカは大学2年から3年のころに愛読した作家である。昼間はサラリーマン、夜には小説家としてちょっと自虐的な2重生活を送るカフカ。最後には30歳台で夭折してしまう。「城」とか「審判」などを読むと、本当に暗い。当時の自分の生き方にも何処か対応していたようである。しかしカフカの小説には「アメリカ」というどこか希望のある小説もあった。その影響があって外資系の企業に勤めたのかもしれない。

 会社に勤めるようになってからは、カフカを再読することはなかった。興味も失い、引越しの旅に本を処分したので、今残るカフカの本も「ミレナへの手紙」だけである。青春時代の何か傷のようなものに触れるようで、忘れたかったのだろう(防衛規制なのだろう)。

 今回の旅行で、冬の雪の中のチェスキークロムロフ城を見学したり、雪の残るプラハ城を訪れ、さらにプラハ城内のカフカが著作に約1年使ったとされる黄金の小路の家(ヘッドの青い家)や、カフカ記念館にも訪れることができた。あのころの暗い気分を再度考えたりする、良い機会であった。

 チェコの二日目は快晴で、日差しもありカレル橋は賑わっていて、そこから見るプラハ城はとても明るい感じだった。夜には、市民会館でクラシックではなくアメリカ生まれのジャズ(プラハにありながら、その音楽会はすべて英語だった!)を聴くこともできた。何か新鮮で、自分の当時の再解釈が始まる予感も。

 生き甲斐の心理学で自己分析をしていくと、何故、自分が当時カフカに凝ったかが見えてくる。そして、何処か病的なところも。自分の過去とリンクするカフカの世界。ただ、ものごとには時がある。自分にとってのカフカを今、洗いざらいに追及するのは、ちょっと無理な気がする。こころの世界は無理は禁物である。無理と感じ、外にやることが充分あれば、忘れ去ることはとても大切である。

 ただ、過去の事実は変えられないかもしれないが、不思議なことに解釈は変えることができる(逆にいうと、つまらない解釈で自分は何で無駄に悩んだことか)。それにより自己否定的なところを自己肯定的にすることができる。それは、自己肯定ー他者肯定の世界に自然体で入っていくために必要。そして、それが遠いようで近い、自分だけでなく他者との和解への道(単純な理路だけでなく、無意識の世界を含めて)。今は忘れて、そのうち時がきたら考えてみたい。

心と心をつなぐ 9/10

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 蛇足ながら・・・プラハ城の衛兵さんも、余りの寒さに守るべき門は不在。ガイドさんによれば、この寒さではしかたがないとも。本当に寒かった。