イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

「自己愛」の水仙に想う!(個性の美 2/10)

2012-04-10 | 第十章「今ここでの恩寵」

 もう10年以上読み込んでいる「生き甲斐の心理学」。理性的な愛「カリタス」を大事にしたU先生の心理学のテキストなのであるが、その冒頭の章は「自己愛パースナリティ障害」の話なのである。初めて出会った時、心理学の初心者の私にとって、高尾山登山を考えていたのに、突然ヒマラヤの絶壁を観るようで驚いたものだ。

 自己愛はフロイトがギリシャ神話のナルシスの話を取り上げ有名になったが、フロイトの時代にはそれほど事例は多くなかったようだ。ただ、時代の変化とともに「自己愛」の問題は大きくなり、現代はこの問題で苦しむ人はとても多いようだ(しかし、どういうわけか殆どこの問題は取り上げられない)。

 私は、社会人になってから、人と関わる仕事が圧倒的に多かった。営業やケアに関する職種など、人と関わる仕事を感情労働と言ったりするようであるが、そういう仕事を実際にしながら、ナルシスに接し疲れ果てるニンフの気持ち理解できるようになった。そして「生き甲斐の心理学」をU先生から学ぶようになり、世の中に蔓延る強烈な「自己愛」の問題がある程度理解でき、眼のうろこが落ちたようであった。

 さらに「生き甲斐の心理学」の勉強会を自分で8年前からやるようになってからも、このテーマはいつも手ごたえを感じ、このテーマがなぜ「生き甲斐の心理学」の冒頭にでてくるのか何となくわかってくるようになった。

 ナルシスは、ナルシスを愛するエコーやニンフの気持ちが判らず拒否してしまい、悲しいめに合わせてしまう(エコーなどは、それこそ木魂になってしまった)。そして、最後には復讐の女神により水に映る自分を恋するという罰がナルシスに与えられ水仙になってしまう。

 悲しい話ではあるが、ギリシャ神話の作者は、「自己愛」に病理のあるナルシスを美しい水仙にすることで、ナルシスを最後には美しく受容するようだ。そこがなんとも言えないギリシャ神話の美しさであり救いである。

 誰でも、私も含め自己愛の問題を起こしがちな世の中である。しかも「自己愛」に問題がある人は病識を持たず、さらに社会的地位が高かったりで、対処方法如何では致命的に傷つけられることもある。病理にたいする知識を持ち、自分も他者も幸せになっていけばと願う次第である。

 個性の美 2/10

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 生き方へ 人気ブログランキングへ <・クリック応援いつも感謝しています!