イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

「ちびくろサンボ」の秘密!(自分の中の神話 1/10)

2012-11-12 | 第七章「光と復活体」

 幼いころに読んだ絵本は、人生を左右するほど影響力があると思う。母から与えられた絵本の中では、私は「ちびくろサンボ」が大好きで、正続二冊をぼろぼろになるまで読んだ。

 「ちびくろサンボ」はWikipediaによると、スコットランドのヘレン・バンナーマンのオリジナルだそうだが、米国等で海賊版が出回り、日本に紹介された「ちびくろサンボ」は海賊版のコピーだったそうである。その後、米国で黒人差別の原因となるというようなことで発禁になったそうだが、日本では問題なく発売できるにも拘わらず、自主回収ということだったそうだ。

 そうした歴史的背景は別にして、私にとって「ちびくろサンボ」は何だったのだろうか。改めて、先日読んだ中沢新一氏の「野生の科学」にあった、神話変換の定式(レヴィ=ストロース)を思い出しながら、考えてみた。

 熱心に読んだのは、私が幼稚園から小学生になるころだったと思う。そして、新しい未知の環境の中に投げ込まれる中(小学校に入学したり・・・)で、この本は、何か不思議な勇気を与えてくれたようだ。私も、体格的には小さく、主人公に似ていたが、自分より大きな友達と付きあったり、主張したり。この絵本は、何か私に力を与えてくれた。

 ストーリーは単純である(正編)。Wikipediaより抜粋:

両親から新しい靴・上着・ズボン・傘をもらったサンボは、竹藪に出かける。しかし通りかかったトラたちに喰われそうになり、身に着けたものを一つずつ与えることで許してもらう。サンボは裸にされ、号泣する。

一方トラたちは、戦利品を奪い合って木の周りをぐるぐる回りはじめる。その間にサンボは、与えたものをすべて取り返すことに成功する。トラたちは最終的に溶けてギー(インドのバター)になってしまう。サンボ一家はそのギーでパンケーキ(日本ではホットケーキと訳される)を焼く。マンボは27枚、ジャンボは55枚、サンボは169枚食べた。・・・

 考えてみれば、あり得ない話ではあるが、<か弱い><サンボ>が、<怖い><トラ>に遭遇し、最後には、<怖い><トラ>が消え、代わりにホットケーキとなり、<か弱い><サンボ>が<怖い><サンボ>となり、ホットケーキを169枚食べつくす。こういう構造になっている。奇想天外ではあるが、現代の人類学の常識になりつつある思考方法からして、とても自然なのである。

 考えてみると、これは通常の分別ある思考ではなく、野生の思考というか、非線形的神話的構造をもっているようだ。これを応用すると、嫌いな人が好きになったり、複雑な和解処理が可能になったり、分別思考が限界になるとき役にたつと思う。

 幼かった私を捉え、何か勇気を与えてくれたのも、決して不思議ではなかった。小学校に入って間もなく、アラスカに一年異文化の社会を経験した際も、貴重な財産になっていたのではと思う。

 そして、これは私だけでなく、戦後生まれの少年少女の心をとらえ、元気づけたのではないだろうか?

 尚、神話変換の定式(レヴィ=ストロース)の詳細な紹介や応用事例は、中沢新一氏の「芸術人類学」、「野生の科学」に詳しい。

 自分の中の神話 1/10

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 生き方へ 人気ブログランキングへ  <・・クリック応援いつも感謝しています!