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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

熟田津に・・・月待てば!(時間と空間の旅 ① 4/10)

2014-02-01 | 第一章「意識と知覚」

 額田王(ぬかだのおきみ)は、万葉集のなかでも一二を争う名歌を残した歌人として有名だ。

「熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかないぬ 今は漕ぎ出でな」は四国の道後温泉の近辺で静養し、九州に向かう白村江の戦いに繋がる状況での歌であるが、海で満月をご覧になった経験がある方は、その幻想的な世界を想像されるのではと思う。そこには、当時の人にしか判らない不思議な物語があったかもしれない(竹取物語でかぐや姫が月に戻る場面など)。

 そして、この額田王は、天武天皇との間で十市皇女を産むが、天智天皇の后ともなり三角関係でも有名だ。そして、三者三様に名歌を残しているが、額田王の次の歌などは時空を超えて燦然と輝く歌のようだ。

 君待つと 我が恋ひ居れば 我やどの簾(すだれ)動かし 秋風の吹く

 あかねさす 紫野(むらさきの)行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖ふる

 特に「あかねさす」は天武天皇と天智天皇の関係が緊張する668年の滋賀県蒲生野での遊猟での出来事とされていて、天武天皇が天智天皇の席で長槍をいきなり床板に突き立てる事件に繋がる。これは鎌足の機転もあり、その場は収まったようであるが、壬申の乱への序曲として有名である。

 単純に三角関係のもつれから壬申の乱が起こったとは考えられないが、一人の女性の発した言葉・歌が、日本を揺るがしたのは実に不思議に思える。もちろん、その経過は様々に解釈できるようで、小説でも私の手元には黒岩重吾氏、井上靖氏、井沢元彦氏の著作があり興味が尽きない。

 3月に関西。特に琵琶湖を中心に旅する予定があるので、今回は、この事件を含めいろいろ研究してみたいところだ。

 ところで、U先生の「生き甲斐の心理学」を学ぶと、こころの健康を表すプロセススケールの中で、「不一致」という概念がでてくる。想いと言葉が乖離することは日常の中をたくましく生き抜くためには必要なことでもあるが、心の健康にはよくないということだ。特に自分が気づかないうちに不一致が行われていることもあり、いろいろ考えさせられる。

 逆に、想いと言葉が一致した場合、自分だけでなく周りに及ぼす影響も凄い。今と同様、壬申の乱の時代も政治は複雑で本心は見えにくいが、その中で一致した言葉があったのではと妄想してしまう。

 蛇足になるが、冒頭の写真の満月。1月16日のものであるが、今年は元旦が新月であることもあり、旧暦でもないのに、15日前後が満月になる月が多い。調べてみると、1月16日、2月15日、3月17日、4月15日、5月15日、6月13日、7月以降はどんどんずれていく。このときに海で月を見て見たい。

時間と空間の旅 ① 4/10      

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