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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

「オツベルと白象」から人間の搾取性を思索する!(心の健康度 ③ 8/10)

2014-05-10 | 第四章「愛とゆるし」

 自己愛の問題は、世の中に暗い影をもたらす。自己愛そのものは愛と繋がりたいせつなのだと思うが、人の心の不思議で理想と現実の混濁というか自他混濁というか、何かの拍子で自他肯定ではなく他者否定的な要素、例えば搾取性が顔を出し世界を暗くしていく。

 さて、明日参加する読書会に備えて、宮沢賢治のオツベルと白象を読んだ。YouTubeにも素晴らしい朗読の動画があり感動した。あらすじはWikipediaによると・・・

ある日、地主のオツベルのところに大きな白い象がやってくる。オツベルは象をうまく騙して自分の所有物にし、過酷な労働を課す。そうとは露知らず、初めは労働を楽しんでいた白象だが、徐々に食べ物を減らされて弱っていく。白象は月の助言で仲間たちに手紙を書き、それを読んだ仲間の象たちはオツベルの邸へと押し寄せていく。

 宮沢賢治の「オツベルと白象」。今日は、これを自己愛に問題をもつ人「オツベル」と、その犠牲者「白象」の話と考えて思索してみた。オツベルは、決して自分の心の問題?を自覚しているわけでもないようだが、「白象」をどんどん都合の良いように誘導し自分の儲けの道具にしてしまう。「白象」はオツベルの問題(障害)にまったく気づかず、善意の中でどんどん悲惨なめに陥っていく。そして、殆どがんじがらめの状態で「白象」は象の群れに助けを求め救済される。しかし、オツベルはくしゃくしゃに潰されてしまうし、白象も何か悲しげである。そんな判りにくい話である。

 この童話を読むとく鍵は「おや、君、川へはいっちゃいけないったら。」と読者に警告して終わっている部分ではなかろうか。初めはよく判らなかったが、この言葉は実に意味深い。川は「白象」がオッペルに騙されて?最初に働いた場所だ。そして、宮沢賢治が何故、全体の流れを崩してまでも叫んだのか、考えてしまうのだ。大人でないと経験できないような体験に裏付けられた何か。

 世の中には、オツベルのように自己愛に問題を持つ人がいる。しかし、本人に病識はないことが多く、社会的地位があったりする。そして、そうとも知らない「白象」がオツベルに関わることで悲惨なめにあうことが多いのだ。こういう知識は、意外に誰からも学ばない(私も生き甲斐の心理学を50歳代で学び初めて知った)。時には本当はオツベルが問題なのに自分が問題と思わされることも。

 自己愛の問題は、実に奥が深い。ギリシャ神話のナルシスの話も有名だが、、このオツベルの搾取性など他人事ではないところもある。自分のアイデンティティの問題や生き甲斐の問題を考えるとき、自己愛の問題ははずせない。

心の健康度 ③ 8/10

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