イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足。この生き物は何か?!(心の健康度 ⑤ 6/10)

2014-06-02 | 第四章「愛とゆるし」

 先日の東北旅行で、出発前にはほとんど考えなかった高村光太郎の山荘(現地で知った)に寄ったことがある。高村光太郎は、教科書に載っていたこともあり、高校生のとき詩や評論を背伸びをして読んだことが。高校生の時なので、成人の経験とか老年の心境は当然ながら妄想?するしかなかったが、高村光太郎に不思議に惹かれた記憶がある。

 花巻市の高村山荘は、高村光太郎が智恵子の統合失調症発症から死までを経験し、さらに戦中で詩で戦争協力をしたあと、花巻の宮沢賢治の弟の疎開先から移った田舎の小屋?である。ホントに小さく粗末で、ストイックを絵に描いたような場所だった。そこで、60歳代を7年間暮らしたそうだが、次の詩が当時の光太郎の心境を表しているような気がする。

三畳あれば寝られますね。
これが水屋。
これが井戸。
山の水は山の空気のやうに美味。
あの畑が三畝せ
いまはキヤベツの全盛です。
ここの疎林がヤツカの並木で、
小屋のまはりは栗と松。
坂を登るとここが見晴し、
展望二十里南にひらけて
左が北上山系、
右が奥羽国境山脈、
まん中の平野を北上川が縦に流れて、
あの霞んでゐる突きあたりの辺が
金華山沖といふことでせう。
智恵さん気に入りましたか、好きですか。
うしろの山つづきが毒が森。
そこにはカモシカも来るし熊も出ます。
智恵さん斯かういふところ好きでせう。

(青空文庫の智恵子抄より)

生活のための三畝の畑(写真)が残されていて、当時の高村光太郎の生活や生き方が観えてくるようだ。今は、山荘も保存のために、金色堂のように覆舎で小屋とともにトイレまで覆われおり、冬の厳しさが偲ばれる。土地の小学生と過ごしている写真などを見ると、ちょうど私と同じ60歳代なのか、何か親しみを感じる(ちなみに、私は家の中にテントを買い一人暮らしの空間を獲得したばかり(笑))。

    

この高村光太郎も、山荘生活7年のあとに東京にもどり、1-2年暮らした後で亡くなる。そして、私が若いころ背伸びして読んだ詩集なども、ざっと読見直すと、昔と違って謎の部分もずっと少なくなっていることに気付く。

身体の成長と心の変化は、臨床心理学の創始者?とも言われるフロイトが、ちょっとストレートな表現だが、口吻期、肛門期、性器期といった分類をして研究し、その弟子ともいえるエリクソンがさらに発展させ、ライフサイクルとか8つの人格形成論に結実したようだ。

そして、エリクソンは優秀な心理療法家だったが、50歳前には、8つの人格形成論を発表。そして、エリクソンの素晴らしさは、何と91歳まで生き続け、80歳の時に「ライフサイクル、その完結」(みすず書房)まで書いているところだ。ちょうど私が高校生の時に背伸びをしつつ、わかったかのように高村光太郎を読んだのが、実際の高村光太郎の年代を経験して、いろいろ見えたような迫力がある(リファレンスが悪いので失礼!)。

乳児期から、前期幼年期、後期幼児期、児童期、青年期、前期成年期、成年期、成熟期と身体の変化とともに、社会的環境も踏まえて、心の変化が追従する。

昔と違い、今は3人に1人が高齢者という時代になりつつある。特に成熟期は、スフィンクスの謎かけのように、四本足、二本足、三本足の最後のステージ。思い込みの中で侮蔑的態度をとりがちとも言われる人生最後のステージを、生れ落ちた幼児期(希望)に回帰するがごとく、柔らかく楽しく暮らしたい。

 心の健康度 ⑤ 6/10

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