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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

愛の原型が救いになるところと怖いところ (他者との関係性とストレス曲線 7/10)

2017-11-04 | 第三章「無意識の世界」

 昨日は、調布市の神代植物園に、二十年くらい経つのだろうか久しぶりに訪れた。美しいダリアやバラを堪能して帰った。

 天気も良く穏やかで、バラの美しさと香でリフレッシュした。

   

   

   

 こんなに美しく立派なバラやダリアではなかったが、幼いころの私の家の庭にも、ささやかにバラやダリアが咲いていた記憶がある。当時の祖父母や両親と一緒に愛でた記憶とどこかで重なり、つまり、愛の原型と重なり、満ち足りた気分になったかもしれない。

 愛の原型とは、自分の生育史の中で、これが愛かなと思えるような、主観的な愛の記憶と言えると思う。そして、その愛の原型は、昨日のように自分を癒し元気にしてくれる一面があるが、時に凶器となり身を亡ぼすことまであるという。

 さて、今朝は遥か彼方の縄文時代から、1,300年くらい前の飛鳥・奈良時代に戻ってきている。昨日のバラの香りで、少し現実的になったのかもしれない(笑)

 日本の原型ができた飛鳥時代。天智天皇、天武天皇、持統天皇、といった大政治家の力も寄与しできてきたと思うのだが、その中で地味ながら大きな働きをしてきた皇子がいる。志貴皇子である。彼は天智天皇の子であり、大友皇子と同じく母が夫人の格であった。実務家としての経歴は殆どないようだ。しかし、歴史を俯瞰していくと、大きな働きをされたなと思ってしまう。

 壬申の乱で天智天皇系が破れ、天武天皇系の世の中になり、天智天皇系の志貴皇子は冷遇されるようになる。しかし、天武天皇が崩御し、その後、持統天皇が即位すると、持統天皇が天智天皇の子供であったこともあり、また、厳しい政争の中で天智天皇に近かった藤原氏の不比等に接近していったこともあるのだろう。天智系の志貴皇子に日の目があたってくるようになる。そして、死後ではあるが770年に、志貴皇子の息子の光仁天皇が天智系の天皇として即位する。それから先は天智系の子孫が占める。

 そんな志貴皇子であるが、名歌を万葉集に残している。その中の二つが印象的である。

 采女の 袖ふきかへす 明日香風 都を遠み いたづらに吹く (万葉集1、57)

 この歌は、飛鳥浄御原宮から藤原京に遷宮したあとに、残された志貴皇子の孤独な心境を語っているようだ。かつては大友皇子(弘文天皇)政権に近いところに居たにもかかわらず、壬申の乱で冷遇されるポジションになってしまう。地方の子女が家の期待を背負って采女として主人に仕えるのだが、その采女の心境と重なってしまう。

 この句は、私の推測であるが、志貴皇子も采女も蝶よ花よと育てられ、周りから期待された世俗的に愛の原型をどこかにもっているがゆえに、激しい孤立感、孤独感につながるように思えてならない。今の日本はよくわからないが、ひと昔前は立身出世的な願望は巷に溢れ、それをバネにして働いたりする一方、期待に沿えない場合は悲劇を生んだ。

 むささびは 木末(こづえ)求むと あしひきの 山の猟師に 逢ひにけるかも (万葉集2、267)

 縄文が大好きな私にとって、ムササビの習性(飛翔力が乏しく、滑空するのを主とするムササビは、必ず木の幹から登って梢から飛び立つ)を知ってムササビをしとめる猟師(またぎか)の智慧の物語にうきうきしてしまう。

 この歌の解釈の一つに、大津皇子が権力奪取にしがみつき命を落としてしまったような悲劇を宣べているというものがある。愛の原型が凶器になるという意味なのだろうか。

 愛の原型をどこかで深く見つめ、どこかでさらに統合している志貴皇子であるが、この兄弟でもある持統天皇も多様でしたたかな世界観をもっていたのかもしれない。ムササビをしとめる猟師のような智慧というのだろうか。

他者との関係性とストレス曲線 7/10

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