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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

持統天皇は道教を信じていたのだろうか?(忠誠心を考える 2/10)

2018-08-07 | 第七章「光と復活体」

  写真は伊勢神宮の東にある朝熊山から伊勢湾方面を見た景色。伊勢神宮の遷宮の年に勧められて金剛証寺に寄った時だ。晴れた日には右上の方向に富士山も見えるという。「お伊勢参らば朝熊かけよ。朝熊かけねば片参り」こんな俗謡が今でも伝わっているが、訪れて伊勢の印象がずいぶん変わったのを覚えている。伊勢神宮も素晴らしいが、確かに二つを訪れて信仰の世界がより見えるようだ。

    

 さて、ずっと持統天皇についてこの10年近く考えてきたが、女帝がどういう信仰をもっていたのか、どういう思想・アイデンティティをもっていたかという、正中線のようなものがよく分からなかった。持統天皇の自ら発した言葉は、万葉集に5首残されているが、「日本の道教遺跡を歩く」(福永光司、千田稔、高橋徹著 朝日新聞社 2003年)、「持統天皇」(吉野裕子著 人文書院 1987年)といった道教(含む陰陽五行)の知識をもとに読み解くのが国文学者のそれより分かりやすい。そして、その中の一つに伊勢に関するものがある。

天武天皇が崩御してから八年の九月九日、ご斎会が行われた夜、夢の中でおぼえて与えられた一首

明日香(あすか)の 清美(きよみ)原の宮に 天(あめ)の下

知らしめしし やすみしし

我が大君 高照らす 日の御子

いかさまに 思ほしめせか

神風の 伊勢の国は 沖つ藻も

なみたる波に 塩気のみ

かをれる国に うまこり あやにともしき

高照らす 日の御子 (巻2-162)

(参考:日本古典文学全集2 万葉集1 小学館 1971年)

 夫の天武天皇(陵は藤原京の真南の野口御陵)が亡くなってからの御斎会が開かれたころの歌である。この歌の中の「あやにともしき」(うらやましい)、の解釈が謎であったが、「日本の道教遺跡を歩く」に道教でこの歌を読み解いた解説があり納得した。神仙の地(伊勢)で楽しむ天武天皇を歌ったもののようだ。因みに、朝熊山は野口王墓の真東にあり、死と再生の思想のリアリティが夫の再生を信じている持統天皇の歌から伝わってくる。

 ところで、なんでアイデンティティとか忠誠心の話に思想や宗教の話がでてくるかだが、個人的な印象(自分を見ていれば分かる)でも世界史の流れでも、どうも人間は信用できないもののようだ。そして、信用できるものは唯一、神仏・・・そういうことに辿り着くようだ。私たちの世の中でも、7世紀の日本でも恐らくそう思う人も多いと思う。もちろん、宗教や思想は怪しげという意見を持たれている方も多いだろう。ただ、食わず嫌いもどうかと思う。まずは1000年、2000年といった経験をもつ伝統宗教をしっかり研究されたらと思う。信用できないものに忠誠を誓うほどつまらないことはないと思う。

忠誠心を考える 2/10 

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