イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

根を持つこと (8/10 世界を広げて楽しく暮らす)

2021-03-23 | 第八章「魂と聖霊」

 もう20年近くの昔になるが、ネットで第2次世界大戦のころに夭折したシモーヌ・ヴェイユというフランス人哲学者のことを知った。後から考えるとその影響も転職の遠因になったかもしれない。コンピュータ業界から人のケアに関する世界に替わったのだ。「根をもつこと」は彼女の遺作のタイトルで有名だが、まだ読んでいない気になる題名だ。霊性というか魂というか宗教心と関係がありそうな言葉で、生き甲斐の心理学でU先生から学んだデジデリウム(見神欲)の別の表現かもしれない。

 「根をもつこと」。私は身近だった母方祖父母、両親、そして妻とも生まれが東日本と西日本に別れ、3代にわたって国内における異文化結婚であった。そして七歳までは神の内という七歳の時にアラスカで一年近く暮らしたこともあり、地域に根付くと言う意味でもどこか根無しであった。

 さらに、宗教という面でも、母はカトリック、父は浄土真宗であり、これまた自分の根はどこか探るところがあった。

 「根をもつこと」は普通は問われる問題ではない。特に現代は何処にいってもコンビニは美味しいコーヒーを提供してくれるし、大手流通業は同じような心地よいサービスを提供してくれる。人の本能である食欲は、地域のものを食べなくても世界中から材料が届き満たされる。現代を生きる上では「根をもつこと」を意識する必要は余りなく潜在化はあるかもしれないが忘れがちになってしまう。しかし、極端に言えば死にゆく特別なときはどうだろうか。後六ヶ月の命と言われたらどうだろうか。多分、その時に「根をもつこと」が重要な意味を帯びてくるのだろう。

 人の死は厳粛であるが、希望に満ちた死もあり絶望だけの死もあるようだ。「根をもつこと」を意識することはどうもそうした死に行く時のあり方に関係があるようである。「自分は何のために生きていたのか?」「自分の生き甲斐は何だったか?」「自分の身体、生育史、魂を大事にしてきたか?」

 さて、この今月の3月の終わりに長野・山梨の一泊旅行をしてきた。冬に「生き甲斐の心理学」の論文を書いたことでのことで、おのずと五感体感を意識した旅となり、遺物を見るだけでなく検出された縄文遺跡に足を運んだ。運良く天候にも恵まれ季節にも恵まれ貴重なアドバイスにも恵まれ、喜びに満ちた旅であった。ちょうど誕生日とも重なり、祝福された旅だった。

 縄文時代の謎の部分も少し分かりかけてきたようだ。例えば縄文時代に兵器はなく大きな争いがなかったことは定説化されてきているが、気持ちの良い場所に住み人々がお互いに大切にしあったのではないかと。つまり大きな愛や慈愛にみちた「根のある」生活を行っていたのではと。特に「七歳までは神の内」ということわざがあるが、子供を大切にする文化は縄文時代からの遺産ではないだろうか。つまり縄文人の愛の原型は健全であり、それが一万年以上の文化を生み、そしてその余韻で今の日本があるのでは。縄文時代のちょっと異形であるがかわいらしい土偶は何かを語っているようだ。

しかし、自戒をもって思うが最近は小さな打算を含む小さな愛が横行している。その結果としての様々な悲劇。健全な愛や慈愛を文化に根付かせるとは何なんだろうか。

写真は山梨県の史跡梅之木遺跡から南アルプスを望んだ写真。

8/10 世界を広げて楽しく暮らす

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