伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

林のレストランが閉店

2021年06月28日 | 
 ここには当初、ヒカゲチョウやサトキヒカゲマダラ、ヤマキヒカゲマダラ、そしてオオスズメバチのえさ場になっていた。ここに群れて樹液を奪い合っていたのだ。





 やがて、ここにオオクワガタがやってきた。6月13日のことだ。



 えさ場にはオスもメスもやってきて、出会いの場ともなっていたのだ。このクワガタムシは、場所を移動しながら、しばらくの間、滞在し、樹液のたくさん染み出す良好な物件を死守すべく、やってくるオオスズメバチを追い払ったりしていたので、陰に隠れて過ごすペアの姿を垣間見ていることができた。

 また、アマガエルがやってきて、樹液を求める虫を待ち伏せする姿も見ることができた。じっとして待つアマガエル。オオスズメバチが樹液をあらして、あきらめ顔のアマガエル。この待ち伏せは悲喜劇を伴っていたようだ。

 そして、ここ数日、カブトムシがレストランにやってきていた。

 最初は、角の折れたオスとメスのカブトムシ。続いて、小柄なオスのカブトムシがやってきて、3匹で樹液を接種していた。



 樹液のしみ出す一点に顔を寄せる姿は、3匹のカブトムシが談合しているようにも見える。しかし、実際には、小柄なオスがメスを追い出し、樹液を独占しようとしていたようだ。

 この小柄オスのわがままを許さなかったのが、大柄オスだ。横柄な行動に怒りを覚えたのか、折れた角を突き出しながら、小柄オスに挑みかかり、ついには、追い出してしまった。





 とっくみあいのケンカならば、角がそろっている小柄オスにも勝機があったのだろう。しかし、押し合いの力比べでは大柄オスにはかなわない。小柄オスはすごすごとその場から離れていった。



 大柄オスは、小柄オスの出現前から出会っていたメスを、何よりも大事に思っていたようだ。メスに樹液を接種させ、自らはメスに覆い被さって、守っているように見えた。



 これが3日前のことだった。

 その後、ペアのカブトムシは、木の二股に分かれた場所に移動し身を潜めた。昨日は、角のそろった大柄なカブトムシもきていた。



 ところが、今日は、辺りに誰もいない。よく見ると、樹液のしみ出していた部分が乾いている。





 樹液はナラの木に傷がついたりすると、その部分からしみ出す。おそらく、樹液をしみ出させることで、傷の修復をする機能が、木に備わっているのだろう。

 ナラの木に撮ってみれば、ほぼ3週間かけてその傷を修復した。修理完了記念という喜ばしい日を迎えることができたのだ。

 ところが、ここで食事をしていた虫たちにとっては、貴重なレストランを失ってしまった。悲しんでいることだろう。かくいう私も、毎朝の散歩で楽しみにしていた、虫などの観察場所を失ってしまったことには、若干の悲しみを感じる。

 木に傷をつければ、林のレストランは復活するのだろうが、それもなー。
 自然が成すままに、再びレストランが出現する日を、散歩しながら待とうと思う。


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