日本最古の神社として知られる奈良県桜井市の大神神社。「おおみわ」と読み御神体が三輪山そのものであって、本殿を有しない。古代の祭祀を今に伝える古社である。
京阪から奈良方面に下り、東の方面に美しい姿を見せる三輪山。「古事記」では御諸山、「日本書紀」では三諸山と称し、山そのものが御神体である。こうした御神体となった山のことを「神奈備」といい、「神隠り」が転じたと考えられている。神奈備の山中には「磐座」(いわくら)があってそこで祭祀が行われていたという。神話の以前からの祭祀の形態で御祭神は大物主神。
大物主神は出雲の大国主神と同一神と考えられているが、出雲神話において記述がある。
葦原中国を治めて国作りを進めていた大国主命は、天津神の少名彦命の協力を得ていたが、少名彦命は常世の国へと帰ってしまったことから、国作りが進まなくなってしまう。そこで自分を三輪山へ祀れば国作りを手伝うと申し出たのが大物主命であった。
この神話が大神神社の起源となっていて、実は大物主は海の彼方から現れたと記されていることから渡来系、外来の神とも考えられている。
国作りの後、天孫降臨から国譲り神話を経て、大国主は出雲へと身を隠すわけだが、大神神社は出雲大社より古いことは確かである。
現在では摂社の「狭井神社」で許可を得れば一般にも三輪山への入山が許される。ただし飲食や山内の草木の持ち出しなどは許されない。厳しい条件は神に祟られないためだと言う。四月には「鎮花祭」が行われる。
春に花が咲くと共に、花粉に合わせて疫病が四方に飛散するのを沈める祭と言う。境内には「三輪の神杉」がそびえ多くの人々を迎える。
山や自然を神聖視し、聖なる地として守りながら崇めてきた古代の神道の形が今に残っている大神神社は、まさに日本最古の神社である。
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