コロナ禍で半導体(マイクロチップ)が不足し、自動車や家庭用品の生産がストップしたことを記憶している人も多いと思います
が、半導体は現代の電子機器に欠かせないものです。何しろ私たちの身の回りにある家電品から、兵器に至るまであらゆるモノに
使われています。
2022年にはアメリカで国内の半導体製造強化を図る法案が成立したように、今や国家の威信をかけた一大産業です。各国が開
発にしのぎを削る中で、中国は国家的プロジェクトとして半導体製造に力を入れてきましたが、独自路線を貫こうとして国外の不
評を買い、アメリカが主導する対中半導体輸出規制で、追い詰められる状況に陥っています。
日本はかつて半導体の世界シェア50%(半導体メモリーDRAMで世界シェア80%)を占めていました。そして半導体メモ
リーDRAMのシェアは90年代に急速に低下しました。何故か?90年代にコンピューターの主役がメインフレームからパソ
コン(PC)へと変わりつつある時に日本は長期保証(25年)にこだわり、安価なサムスン電子にシェアを奪われたのです。
元技術者の書いた記事では、誰も使わない技術開発を続けても日本半導体産業は決して復権しないと疑問に思い、廻りの技術
者、上司、社長にまで「復権」の意味を聞いたのですが、誰も答えられなかったそうです。ここに日本企業の縮図があります。
今、世界の半導体の約7割が台湾で製造されています。中でもTSMCは世界市場の58.5%、先端半導体だと9割に上るという。
TSMCは台湾に本社がありますが、世界的な視野を持った、アメリカの企業文化の会社だそうです。彼らは顧客企業がアウト
ソーシングに向かうことを見逃さなかった。彼らは生産委託ありきのビジネスを展開することで、他社との競合をすること
なく、製造業をサービス産業に変えたのです。かつての日本の企業の姿勢を思い出します。
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