私の敬愛するマイルス・デイヴィスは「白人によるアメリカ」を嫌悪しており「カストロはアメリカ
を批判するのに3日掛かると言ったが、俺なら2週間で出来るよ」と語っていた。彼自身ジャズクラブ
前に立っていただけで、白人警官に暴行され、当時、その不当逮捕事件が世界中で報じられている。
アメリカでの黒人差別の歴史は相当に根が深い。
十六世紀初頭から約300年間、ヨーロッパ人はアフリカからアメリカにおよそ1250万人の黒人奴隷を
運んだ。拉致から劣悪な環境での輸送により、多くの人命が失われている。アメリカ大陸での大規模
農園は爆発的な奴隷需要を生み出し、強制労働、リンチ、体罰は熾烈を極め多くの犠牲者を出した。
やがて黒人奴隷たちは日常的抵抗と反乱を起こし、次第に実力を蓄え、選挙にも影響を与えるように
なった。そして奴隷制廃止運動がおこり、奴隷を手放したくないアメリカ南部と北部が激しく対立し
南北戦争が勃発する。4年にわたる南北戦争は60万人以上の死者を出した。
アメリカでは2008年に史上初の黒人のオバマ大統領が誕生するが、未だに人種差別の問題は解決せず、
貧富の差は激しくなり複雑化し、深刻さを極めている。さらにトランプ次期大統領が来年就任するこ
とで、人種間、富める者と最低限の生活を余儀なくされる人々との争いは増えていくだろう。私たち
は歴史を学び、相互理解を深め、歩み寄らなければ混沌は収まらない。
アメリカ黒人の歴史 上杉忍 中公新書
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