全く知らない世界の話は面白い!大使の仕事も全然知らないし、エルサルバドルという国につ
いても何も知らないので、好奇心旺盛な私は興味津々で読み終えました。商社マンとして長く
中米で仕事をしていた著者は定年後に「大使にならないか?」と外務省から声がかかります。
スペイン語も堪能な著者は引き受けますが、果たして大使の仕事はどのようなものか?
著者の赴任地エルサルバドル共和国は北米大陸と南米大陸をつないでいる中米の中央やや来た
寄り、太平洋側に位置し、四国と同じくらいの大きさ。人口は650万人ほどで、ラテン系には
珍しく勤勉な国民性だそうです。昔から親日国家として知られ、戦後初めて日本の繊維企業が
海外に工場を建設したのがエルサルバドルでした。
大使の仕事は勿論外交。日本と任国との窓口になり、様々な交渉、政策協調への働きかけの他
にも、国際情勢に関する情報・意見の交換などなどです。著者がスペイン語を不自由なく話せ
ることは任国以外の中南米諸国の大使たちとの情報交換にも力を発揮したようです。
著者は民間企業で働いていた経験を活かし大使館の前例踏襲に囚われず、任国の事業に関与し、
その事業の分析、将来性を鑑み、交渉に臨み一定の成果を生んでいます。戦後経済発展を遂げ
てきた小さい島国・日本に対して、世界中の国々が期待することは多いようです。慣例を打破
し、大使にも民間人を起用し、世界貢献することは有意義であり、国益にも繋がるでしょう。
商社マン、エルサルバドル大使になる 樋口和喜
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