過日発売された村上春樹さんの「騎士団長殺し・・・顕れるイデア編」を読んでいて
ふと思い出した・・・
正確にいえば私の心の中、片時も忘れない、忘れられない幼い日のとある恐怖の出来事。
4歳か5歳くらいの時だった。
たぶん法事で父方の田舎(秋田県)に親戚が集まった。
私と私の兄、そして従姉妹たちと街中へ出かけ、ふもとから
山の中腹にあるおばあちゃんの家まで帰りはかけっこだ!!と
いきなりヨーイドン。
ただでさえ足は遅いうえ、最年少だった私。
山の中腹といってもそこまでは舗装されたクルマ一台通れる一本道だし、
ほんの数分で到着する・・・はず。
途中クランクになってるから、先に走っていた兄や従姉妹達は私の目の前から消てしまう。
走るのをやめ、歩きだした私。
でも、歩いても歩いても、まわりの雑木林の風景が変わらない。
夕焼けで明るかったのが、いつしか真っ暗。本格的な夜になっていて
怖くて怖くて、焦って焦って、頭のてっぺんから蒸気がメラメラでてるように暑くて
でも怖いから必死で坂を登って走って登って走って・・・
どれだけ時間がたったのかわからない。
やっとやっと明かりが見えて、玄関の引き戸をガラガラとあけると、
一番奥の大きな和室から大人たちの笑い声・・・
たくさんの料理、お膳を前にお酒でみんな出来上がっていて
酔っぱらった母なんかキャハキャハと笑い転げてる。
たった今まで渦中にいた恐怖の体験。
怖くて怖くて大泣きしながら母のところへ飛び込んでも、
「ハイハイハイ」と背中をポンポンして何も聞いちゃくれない。
怒りながら泣きながら、兄たちはどこ?ってきくと
「もう真ん中のお部屋で寝てるわよ」と私の顔に目もくれず
何がそんなに面白いのかケラケラしながら云う母に怒り心頭!!
すっくと立ち上がり、その真ん中の洋室のドアを開けると、
確かに兄や従姉妹たちは毛布をかぶって寝息を立ててぐっすり寝ている。
彼らが到着した時間から何時間たっているのだろう・・・・
そんな思い出なのだ。
山の中腹にある祖母の家。山と呼べるような立派ものでないが、内館山と名が付いており
頂上は城址跡。
祖母の家の前にはお稲荷さんの祠があり、その横から山頂へつづく山道がある。
あの時の恐怖は半世紀近く経とうとしてるのに忘れない。
冒頭の村上春樹さんの新作本を読んでいて再びリアルに蘇ってしまった。
で、ネットで「キツネに化かせれる」をキーワードで検索してみたら・・・・。
出る出る・・・やはり、本当にあるんです、狐に化かされる現象。
私の体験とほぼ同じように、迷うわけのない一本道、歩けども歩けども
目的地つけない
同じ道を何度もぐるぐる。 短いはずの距離を延々とループする景色の中
何十分以上も抜け出せなかったりする。
この恐怖、体験しちゃったものにしかわかりません。
で、もっと調べると、対策が出てきました!!!
1、煙草を吸い、煙をクルクル円を描くように回す。結界を作るんだとか。
2、ワンワンと犬のまね、犬の鳴き声をだす。
3、声に出して化かすんじゃない!!と怒鳴ってみる。
なんだそう。これら、田舎のそういう現象になんどか巻き込まれたタクシーの運転手さんや
田舎の地元人々の体験談から。
はたまた、とある京都の神社の神主さんのブログにも!!
私、信じる!!ってか、本当に本当にあるんだもん、本当に出会ってしまったんだもん。
あの恐怖の現場から逃れられるのなら、恥ずかしいとかバカらしいとか言ってられない。
その対処方法、1のタバコは、吸わないから出来ないけど、2と3は出来る。
ワンワンでもニャーニャーでもガオ~でもやってやる。
テメ~!!化かすんじゃね~ぞ!!といぎたなく怒鳴りつけてやる。
そんな目に合ってしまった時の為にお守り代わりに覚えていて損はないです。きっと・・・
そして、何よりそんな恐怖より大きな大きな感情は・・・母への不信感。
私が帰らないことに心配しないどころか気がつかない。
この人は私を守っちゃくれない・・・怒りと得体のしれない恐怖。
こんな親は信頼できないと一刻も早く自立しようと心に誓ったのだ。
さて、そんな恐怖体験を呼び起こした村上春樹さんの新本。
アマゾンのレビューにはいろいろ賛否両論?あるけれど
私は村上ワールドが大好き。
村上ワールドよりヘンテコなワールドを見てる私が
現実逃避できる小説の世界。 星☆☆☆☆☆