図解ーー思考を明晰にする
ポイント****************
1)図解のための道具立てを用意する
2)大事な用語を確定する
3)用語間の関係を表現する
********************
●図解には道具が必要
最近、筆者は、プレゼンテーション・ソフトーー実は図解ソフトと呼ぶのがふさわしいーーPower Point が使えるようになった。 それまでは、一枚の図解をするには、定規やコンパスなど各種の道具が必要、さらに、用具の扱い技能も必要、しかも、間違えたらやり直しなどなどで、図解する気持ちが萎えてしまうことのほうが多かった。 こうした苦労がすべてPower Point によって解消してしまった。
●図解の功罪
文書でもプレゼンでも、図解には次のような効用がある。
・全体の概要や要旨や構造がわかる
・全体ー部分、あるいは、部分間の関係が わかる
・文章の流れの中に埋め込まれている構造 が空間(イメージ)構造として見える
・効率的な処理ができる
いずれも、人の持っているパターン認識の能力を十全に発揮させる趣向になっている。 もっともこうした効用が発揮できるためには、文章以上にその表現に工夫が必要となる。なぜなら、描き方、読まれ方(リテラシー)が文章ほどにはきちんとは決まっていないので、思い(思惟)を適切に図解できなかったり、意図したとおりに理解してもらえないことがあるからである。実習1を参照されたい。
●わかりやすい図解とは
図解に使う部品は、関係を表現する線と矢印、言葉を書き込む図形とで済む。 実習2は、最も基礎的な関係の表現であるが、多分、説明なしでも理解できるはずである。 Power Pointの支援を受ければ、かなり複雑な図解まで作り上げることができるが、あまり複雑にしてしまうと、瞬間的な処理ができなくなったり、意図どおりの読まれ方がなされない恐れがあるので、止めたほうがよい。
●図解思考が大事
どう表現するかよりもっと大事なことは、表現以前の、思惟をイメージ化すること(図解思考)である。 思惟活動は、もっぱら命題(ことば)とイメージを道具にして行われる。両者の間には行ったり来たりがあるが、最終的に図解するには、イメージに依存することになる。 図解思考の過程は、次の2ステップを踏む。
○ステップ1 要素の同定 思惟の中核になる用語を明確にする。これは、図形で囲んだりして表現する。」
○ステップ2 要素間の関係の構築 階層関係、対比関係、相関関係、全体ー部分関係、論理関係、時系列関係などなど。関係の種類に応じた表現がある(実習2参照)
この2つのステップを意識的に行うことで、図解思考がより明快なものになる。
*********本文60行 ******************************************* 実習1「図解をしてみる」******** 次の図から読みとれることを文章にしてみよ。 図1 別添 (久垣啓一「図解仕事人」光文社新書より) 「解説」 この図解には微妙なところが一カ所ある。4つの仕事間の関係が明示的にはなっていないところである。 この図解は文章表現なら、次のようになろう。「仕事には4段階ある。定型的仕事の次には、問題が生じたときに対策を考える仕事、次の段階は、問題が発生する前に手をつける仕事である。最上階に、創造的な仕事がある。」 実習2「次のシンボルはどんな関係を表現しているか」************** 図 別添 「解説」 いずれも決まりではないが、誰が見てもだいたい以下のような意味になるのが、図解のおもしろいところである。 解答 1)は対立、2)は時間の流れ、 3)は往復、4)は包含、5)は過程。 図解「図解のメカニズム」******* 思惟は、言葉(命題)かイメージを使って展開される。図解思考は言うまでもなくイメージによる思考であるが、イメージと命題との間には密接な情報のやりとりがあることを考えると、図解だけ、言葉だけは適切な表現とは言えない。両者で補完しあうのが最適表現になる。 図 別添
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1)図解のための道具立てを用意する
2)大事な用語を確定する
3)用語間の関係を表現する
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●図解には道具が必要
最近、筆者は、プレゼンテーション・ソフトーー実は図解ソフトと呼ぶのがふさわしいーーPower Point が使えるようになった。 それまでは、一枚の図解をするには、定規やコンパスなど各種の道具が必要、さらに、用具の扱い技能も必要、しかも、間違えたらやり直しなどなどで、図解する気持ちが萎えてしまうことのほうが多かった。 こうした苦労がすべてPower Point によって解消してしまった。
●図解の功罪
文書でもプレゼンでも、図解には次のような効用がある。
・全体の概要や要旨や構造がわかる
・全体ー部分、あるいは、部分間の関係が わかる
・文章の流れの中に埋め込まれている構造 が空間(イメージ)構造として見える
・効率的な処理ができる
いずれも、人の持っているパターン認識の能力を十全に発揮させる趣向になっている。 もっともこうした効用が発揮できるためには、文章以上にその表現に工夫が必要となる。なぜなら、描き方、読まれ方(リテラシー)が文章ほどにはきちんとは決まっていないので、思い(思惟)を適切に図解できなかったり、意図したとおりに理解してもらえないことがあるからである。実習1を参照されたい。
●わかりやすい図解とは
図解に使う部品は、関係を表現する線と矢印、言葉を書き込む図形とで済む。 実習2は、最も基礎的な関係の表現であるが、多分、説明なしでも理解できるはずである。 Power Pointの支援を受ければ、かなり複雑な図解まで作り上げることができるが、あまり複雑にしてしまうと、瞬間的な処理ができなくなったり、意図どおりの読まれ方がなされない恐れがあるので、止めたほうがよい。
●図解思考が大事
どう表現するかよりもっと大事なことは、表現以前の、思惟をイメージ化すること(図解思考)である。 思惟活動は、もっぱら命題(ことば)とイメージを道具にして行われる。両者の間には行ったり来たりがあるが、最終的に図解するには、イメージに依存することになる。 図解思考の過程は、次の2ステップを踏む。
○ステップ1 要素の同定 思惟の中核になる用語を明確にする。これは、図形で囲んだりして表現する。」
○ステップ2 要素間の関係の構築 階層関係、対比関係、相関関係、全体ー部分関係、論理関係、時系列関係などなど。関係の種類に応じた表現がある(実習2参照)
この2つのステップを意識的に行うことで、図解思考がより明快なものになる。
*********本文60行 ******************************************* 実習1「図解をしてみる」******** 次の図から読みとれることを文章にしてみよ。 図1 別添 (久垣啓一「図解仕事人」光文社新書より) 「解説」 この図解には微妙なところが一カ所ある。4つの仕事間の関係が明示的にはなっていないところである。 この図解は文章表現なら、次のようになろう。「仕事には4段階ある。定型的仕事の次には、問題が生じたときに対策を考える仕事、次の段階は、問題が発生する前に手をつける仕事である。最上階に、創造的な仕事がある。」 実習2「次のシンボルはどんな関係を表現しているか」************** 図 別添 「解説」 いずれも決まりではないが、誰が見てもだいたい以下のような意味になるのが、図解のおもしろいところである。 解答 1)は対立、2)は時間の流れ、 3)は往復、4)は包含、5)は過程。 図解「図解のメカニズム」******* 思惟は、言葉(命題)かイメージを使って展開される。図解思考は言うまでもなくイメージによる思考であるが、イメージと命題との間には密接な情報のやりとりがあることを考えると、図解だけ、言葉だけは適切な表現とは言えない。両者で補完しあうのが最適表現になる。 図 別添