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タイムリミットとワークリミット

2016-04-02 | 認知心理学

――通信教育の場合、提出期限を守れずに課題をためこんでしまって、結局続かずにやめてしまうとい
うケースがみられます。

締め切りを守ること、つまり一定時間内に何かをしなくてはいけないという規範感覚を「タイムリミット感
覚」、一定時間内にできるだけたくさんのことをこなせる能力を「タイムリミット能力」と言いますが、これら
を育てることは、子どもを社会化していく基盤として、非常に重要なんですね。いわば一種のインフラとし
て、3年生ぐらいまでにはきちんと備えておかなければいけません。

――「タイムリミット感覚・能力」はどのように育てていけばよいのでしょうか。

集団として動く学校のような場では圧倒的にタイムリミットが支配することになりますが、家庭で気をつ
けるべきことといったら、やはりきちんとした生活習慣を身につけさせることでしょう。そして生活習慣のな
かで、勉強も習慣づけていく。締め切りまでの期間に決まった分量をコツコツ仕上げていくという通信教育
は、まさにタイムリミットで動いているようなものですから、学習習慣をつけるためにも、「タイムリミット感
覚・能力」を育てるためにも、低学年のうちから活用するのは非常によいことだと思います。
しかし気をつけなければいけないのは、4年生ぐらいからは、時間スケジュールに従って勉強するのが
合わないことも出てくるということです。それまでは「時間だから勉強を始めなさいよ」「次は国語の漢字を
やりましょうね」と、保護者の指示に従ってタイムリミット型でやっていたものが、4年生ぐらいから今まで
のやり方だと通用しなくなってくると思います。

抽象的思考力を問われる問題が増えてくることもあって、「時間内にどれだけやったか」ということより
も、「どこまで理解できたか」という「内容の達成度」を重視する傾向が強くなるからです。これを「タイムリ
ミット」に対して「ワークリミット」といいます。時間よりも作業の質やできばえにこだわるということなのです
が、このように子どもがタイムリミット型からはずれてきたとき、無理やりに時間ベースのスケジュールで
勉強させようとしてはいけません。高学年では、この「内容の達成度」をスケジュールの中心におくよう変
えていったほうがよいと思います。

――しかしそれでは、締め切りにまにあわないといった問題が起こるのでは?

そこで、低学年のうちに「タイムリミット感覚・能力」をきちんと備えておいたかどうかが重要になってくる
んですよ。ベースとして「タイムリミット感覚・能力」がある子どもは、少々予定からはずれていっても度を
越さない。ところがベースのない子どもは、たががはずれたまま収拾がつかなくなってしまうんです。
もし高学年になっても「タイムリミット感覚・能力」が備わっていないとしたら、まずは生活習慣、学習習
慣の部分からしっかりと身につけさせることが先決でしょうね。


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