全米を股にかけて、1年のほとんどを出張で費やすビジネスマンの高揚と悲哀を描いた秀作。主演のジョージ・クルーニーが主人公の感情を見事に表現していたと思う。
エンディングは余韻というか、微妙な後味が残って、映画に爽快感を求める人にはお薦めできないかもしれない。でも、そこが、この映画の最大の魅力でもある。
映画の紹介でも取り上げられているが、この映画は“腰抜けの経営者の代わりに解雇を通告する”(←と主人公が確か表現していたと思う)という仕事を請け負うビジネスマンが主人公。彼はその仕事で、全米をまさに飛び回る。家族もなく、家は賃貸、目標はマイレージの蓄積、1,000万マイル・・・
ネタバレは反則だと思うので、極力、遠まわしな言い方をするが、この映画の軸は人と人の関係。
不幸にも会社から解雇される人、それを通知する人。
なぜ、その解雇を通知することがビジネスとして成り立つのか?
そのプロである彼らは事実を伝え、自分の感情は伝えない。
そして、直接、そこに出向いて、会って伝えることには何の意味があるのか。
私生活には非常にクールな主人公が、仕事では会って伝えることに執着するという一見、矛盾しているようなこだわり。
ここの根っこの部分が、この映画の奥深さを感じさせてくれる。
そして、これだけ多くの人と会って、多くの人の人生の修羅場?に遭遇しているのに、
「人と関わらない」と言われてしまう主人公、その周囲の人。
彼は自分の“backpack”に何を詰めていたのか?
仕事柄?、彼はbackpackと同様に、自分の人生には背負うものには限界があると考えている(いた?)。
現実的には、背負わないことで自由を手に入れられることもあるし、
背負うことでしか得られないこともある。
人と人との関係・・・何が正しくて、何が幸福かは分からない・・・
彼が告げる「解雇」と同様かもしれない。
しがみつけば、しがみつくだけ、忠誠と苦悩があり、
しがみつかなければ、それはそれなりの自由と虚無感がある。
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角川映画 |
これは原作も読みたいと思ったんですが、こういう話はどんなに上手く訳してあっても、翻訳じゃ伝わらないような気もしています。
どうなんでしょう?
こういうときに、英語が出来ないことを実に残念に思うんですよね~
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