週刊ダイヤモンドの2月12日号の特集は「就活の虚実」というタイトルでした。
「就活」とは、就職活動のことですが、すでに一般用語となりつつありますよね。この時季には早くも?本格化しているであろう現大学3年生の就活ですが、多くの学生にとって、これは長くて、厳しいものになりそうな雰囲気が漂っている中での特集ですので、このタイトルを見て思わず手にとった人も多いのではないでしょうか。
目次は、こんな内容です。
Prologue データで見る 現3年生の「就活」は今こうなっている!
Part 1 漂流する就活生
跋扈する就活関連ビジネス
就活続行中の4年生が急増
親にも難問「どう接するか」
Part 2 採用活動の実像
熾烈を極める採用バトルの裏側
人気企業100社が実名回答
採用担当者の「本音」と「建前」
Part 3 揉める就活制度
まとまらない経済界の自縄自縛
就職協定いたちごっこの歴史
政府が連発する大作の現実
内容的には、正直に書けば意外性がなく、良くも悪くも良くまとまった感じでした。
ボクが興味深く思った点は、インタビューや対談での著名な大学教授たちの話・・・大学教授で言えば、宮台真司氏(首都大学東京)や大竹文雄氏(大阪大学)、太田聰一氏(慶應義塾大学)、そして大学教授ではないが堀江貴文氏・・・が、記事の内容とはほとんどリンクしていないことでした。
現在の会社側からすれば採用活動、学生側からすれば就職活動となるわけですが、こうした人たちの話からは、現行のままでは相互に不具合が生じている(別のやり方もあるのではないか)、かつそもそも就活という狭い論点では本質的な問題は解決しないでしょうという考えが前提になっているように感じました。
一方で、この特集の論調は・・・「就活」を題材としていることから、当然に現在の採用活動・就職活動が継続されることを前提として、就職活動・採用活動をどうしたら良いのかという論点となっています。
記者も含め、この記事に関係する・取り上げられる会社側からすれば、ある意味、この制度の勝ち組、既得権者でもあるので、こうした現状肯定の意識が強く出てきます。この構図は世代間、あるいは同世代内でも、一部の勝ち組とそれ以外にも現れつつありますよね。
こうしたすれ違い、論点が合わないことは未来に禍根を残すような気がしています。
ここ数年、新卒採用という仕事からは離れていますが、ボク自身の感じ方としては、年々、採用活動(就職活動)の困難化が進んでいるにもかかわらず、会社側がこうした競争を勝ち抜いてきた人材を活かしきれているかといえば、十分ではないと思います。やっぱり、早い段階で辞める人も多いですし、そもそも会社が優秀な若手を活かせるような環境・優秀な若手を育成する環境にも乏しいという面もあるんですよね。
この点では、会社側というよりは、大学教授のみなさんの論調のほうに近く、就職活動にかける時間をもっと別の時間にかけたほうが良いという考え方にもつながっていますし、企業は新卒信仰からそろそろ離れないといけないという考えにもなっています。(この辺は、また別の機会に。)
残念ながら、今の多くの大企業が抱えている人材面で硬直化・平凡化させてしまうという問題とあわせて、最高学府の機能不全という問題の両面で進んできてしまっている、日本の人材の課題は深刻かもしれませんね。
就職活動という狭い視点での議論は、ますますこの傾向を強めてしまうように懸念しています。
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