先ほどまでNHKの「日本の、これから」という番組を観ていました。
http://www.nhk.or.jp/korekara/nk13_ch/index.html
今日のテーマは「地方衰退」。
ゲストは、菅義偉氏(総務大臣)、片山善博氏(前鳥取県知事)、土居丈朗氏(慶応大学准教授)、高村薫氏(作家)、八田達夫氏(政策研究大学院大学学長)、神野直彦氏(東京大学教授)の6名。
この番組にありがちな展開で、地方の人口減少、東京への一極集中、国と地方の財政、コンパクトシティ、地方自治(権限委譲)などさまざまな視点からの議論となりました。もう少し議論のターゲットを絞るほうが内容が深まると思うんですけど。。。こういう番組、あるいはテレビという媒体では限界なのでしょうか。
さて、「地方衰退」について、昨日の続きのような話になりますけど、ボクの考えを少し書きますね。
ボクが思うには、こういう問題は「日本の将来像をどう描くのか?」という、そもそものビジョンと言いますか、視線を明確にしないと個別の問題では意見は分かれても、実は同じ考え方であることが分からずに不毛な議論になりがちなんですよね。高村薫さんがしきりに問題提起しようとしているように見えましたけど、「長いスパンで考えたとき、どうなのか?」、ここが一番重要だと思っています。
話はそれますけど、こういう番組には高村さんは合いませんね。数多くの人の意見を聞くという番組の趣旨からすれば、話のスピード感が合わないんです。司会者も周囲も高村さんを活かしきれなかったですね。
ボクはもう少しじっくり話を聞きたかった気がしました。もったいない。
閑話休題。
長いスパンでと言っても、なかなか難しいんですけど・・・
最近流行の言葉で言えば、「日本の国益」を考えると、どうしたら良いのか?
夕張の破綻など、ある地方都市の問題ではなく、「地方の衰退」と括れば、「東京への一極集中(都市への集中)」は表裏の問題ですから、東京への集中はそんなに歓迎すべきものなのか?
番組冒頭の街頭インタビューで、ある女性の方が「東京集中、良いじゃない。地方の人もそれが嫌なら東京へ出てくれば良いのよ。」というような内容の話をしていましたけど、ボクはおそらく東京の人の多くは同じように感じていると思います。(最後にメモしておきますけど、番組のアンケートでは8割の人が「東京集中&地方衰退」を問題だと思っている結果になりましたけど、そもそも今回の番組のテーマではそのように感じているから観ている人が多いからだとボクは思います。)
でも、番組でも何人かの人が話していましたけど、
東京だけでは美味しい魚も、美味しい野菜も食べられない。
そして、国内の旅行も満足に出来ないでしょう。
すべてを海外に依存することも、今は可能かもしれませんけど、それこそ国益(防衛上の戦略)を考えれば望ましくないことは明らかです。
もっと言えば、戦争はもちろん、天災が東京を襲った場合にこのような一極集中の状況が逆に国益に反するとも言えるでしょう。
そういう意味では、こういう平地の少ない島国、そして天災の多い土地柄だからこそ、わざわざ住み難い山奥にまで分散した「都市集中ではない生活」を日本人はわざわざ選択したのではないかと、そんなことを思っています。それがさらに土地土地の特徴のある文化、そして多様な考え方の人を育てて、日本と言う国(文化)が成り立っているのではないか、と。
日本が日本である土台であるとすら思えます。
また、そもそも東京に暮らしている人も、本当にこれ以上の東京への人口集中を望んでいるのか?
ボクは反対ですね。もっと通勤を楽にしたいですし、職場の近くに住みたい。美味しいお店でも、楽しい場所でも今のような混雑は勘弁です。
そのように考えると、実は東京への集中は本質的には誰もが望んでいない。
でも、自分は東京にいたい。
それがこの問題の肝なんだとボクは考えています。
だったらどうするのか?
悲しいかな、きっと誰にも分からないんですよね。
分かっていれば、こういう番組にはなりませんから(笑)。
でも、一点だけ。税制・地方財政については少し書いておきます。
ボクは、今の税制などの方針が基本的に間違っていると思っています。
いつも言うように、都市(東京)資本の企業が地方で稼いだ分も都市で納税する制度・・・
あるいは、海産物や農作物などや、旅行などで地方のインフラも利用しておきながら、地方は地方で賄えという姿勢・・・
そして、教育などの初期投資を地方に担わせておいて、見返りである労働は都市が搾取する構図・・・
表面的なお金の流れだけで、地方を理解するのは難しいんですよね。単純に財政難の自治体とそこの住民を自己責任だと責められるほどボクらに論理や正義があるわけもないと思うんです。
このような税制などの歪みを矯正してから、地方の財政は語るべきではないかと、ボクは思っています。
みなさん、ハローです。ホディです。
いつものことながら、この問題を書き出すと長くなってしまいます。
番組にはわが故郷、島根からでている人も二人ほどいました。(もっといましたか?)
地方の衰退を食い止めるには、やはり人。人とその人が生み出す活力なんですよね。
それなのに今のボクだと、仮に番組に出演したとしても名札は「東京」になってしまうのが不甲斐ない気持ちで一杯です。
まさに、これが地方衰退の要因なのでしょう。
最後に、番組内のアンケートの結果をメモしておきます。
Q1:東京への集中が進む一方で、低迷する地方の現状をどう思うか?
1.問題だ ・・・ 81%
2.仕方がない・・・ 19%Q2:産業がなくなり、財政がひっ迫している地方を国が支える必要があるか?
1.ある ・・・ 78%
2.ない ・・・ 22%Q3:これからの地方のあり方として、集約化を進めていくことをどう思うか?
1.賛成 ・・・ 38%
2.反対 ・・・ 62%
※ちなみにこの結果の内訳は、東京の人は賛成が51%、反対が49%。東京以外の人は賛成が36%、反対が64%とのこと。
悩ましい話ですね。
この手の話はこれからも何度か書くと思いますので、是非、よろしくお願いします。
地方衰退・東京一極集中の問題って、言い換えると人口減・少子高齢化・財政逼迫のなかで、共生社会をどのようにつくるかってことなんですかね~?
"効率"だけを求めた街づくり=コンパクトシティであって欲しくはありませんが、多くの方が自分の故郷を大切に思っているわけで、各々が「オラが街、オラが村」と言って、政治家に利権を誘導させているだけでは、無計画で非効率な施設や交通がつくられるだけで、まさにlose-lose。
道州制導入議論や市町村合併は、経済圏を単位とした"地域"づくりの布石なんでしょうけど、あくまでもこれは態勢づくり。それに地方を"ミニ東京化"して金銭的に潤うことだけがハッピーではないはず。
私たち一人ひとりが政治や経済の現状を正確に踏まえて将来のコミュニティを描くことが大切なのでしょうね。そういう意味では国(政治家は勿論、官公庁も)は「今何をやろうとしているのか?」「それはどうしてなのか?」をもっと効果的な方法で国民に説明し、理解を求め、リードすることが必要ですよね。
地方衰退・東京一極集中の問題・・・
おっしゃるとおり共生社会のあり方の問題だと思います。人だけでなく、自然、動物も含めて。
流行の言い方をすれば、「戦後レジームからの脱却」とも言えると思います。20世紀型の社会から21世紀型の社会へ、ということですね。
fallさんご指摘の通り戦後の復興、高度成長を前提とした“無計画で非効率な施設や交通”、これは20世紀型の日本の産業構造ではありだったんだと思います。でも、インターネットなどの発達で地理的な密集が必ずしも経済の効率化とは言えなくなったこの時代、前向きなリストラ(Restructuring)が地方自治・地域のあり方にも求められるのだと思っています。
また長くなりそうなので、このくらいにしておきますけど(笑)・・・
おっしゃるとおりミニ東京の増設や、画一的な都市開発ではなく、それぞれの地方の文化・特徴を活かした地域づくり、それが多様な人材育成にもなると思うので、政治主導ではない人間主導のコミュニティづくりを期待したいですね。