少し前ですが、宮部みゆきさんの『楽園』を読了。
模倣犯の前畑滋子登場ということで、かなり期待しながらページが進みましたが・・・
さすがの宮部さんで、次のページをめくらせる力はすごい、
だけど、今回はちょっと一味足りなかった気がするんですよね。
高望みしすぎでしょうか?
途中から、この話で宮部さんは何を語りたいんだろう?
結末にはボクらにどんな思いを残したいんだろう?
と、そんなことを考えながら読んでしまった自分がいけないのでしょうが。
それでも、「楽園」というタイトルの意味と共に、最後はやっぱり、ん~と読ませられますけどね。
さすが宮部みゆき。
キリスト教では、禁断の果実を食べたことで、知恵や恥を知り、神の怒りに触れ、楽園を追放されたという、人間の原罪が説かれている・・・
「人びとが求める楽園は、常にあらかじめ失われているのだ。」
誰かを切り捨てなければ、排除しなければ、得ることのできない幸福がある。
(中略)
支払った代償が、楽園を地上に呼び戻す。
結局、なぜ“前畑滋子”や“山荘”が必要だったのか?どうしても分からないままなんですが・・・
次につながるんでしょうか。まぁ、いいか。
個人的には、最近の宮部ものでは「名もなき毒」のほうがお薦めです。
せっかくですので、最近読んだ本を報告しておきますと・・・
○内田樹「日本辺境論」
○白石一文「永遠のとなり」
全く方向の違う2冊ですが、どちらも良かったです。
「永遠のとなり」は、ちょっとスッキリさせすぎな感じもしますが、
文庫本の帯に書かれている「壊れた心を照らす希望の光」を描くのだとしたら、
良い感じなんでしょう。
経済小説はここではあえて書き残しませんが、なかなか面白かったので、
機会があれば、また今度。
楽園 上 (文春文庫) 宮部 みゆき 文藝春秋 このアイテムの詳細を見る |
日本辺境論 (新潮新書) 内田 樹 新潮社 このアイテムの詳細を見る |
永遠のとなり (文春文庫) 白石 一文 文藝春秋 このアイテムの詳細を見る |
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます