『鉄道シリーズ』その298。鉄道は67年でどのくらい早くなったのか、それともあまり変わらないのか、を1964年9月の時刻表と現在で比較検証してみたい。まず、区間を選ぶのが難しいが、JRでは東京〜熱海で調べてみた。
1964年9月時点では1番早いのは特急こだまなど151系電車特急である。東京0700発第一こだまでは熱海着が0817、所要時間が1時間17分、東京0720発急行東海1号では同1時間37分、東京0655発静岡行普通列車では同2時間19分かかる。
これに対し、現在は新幹線こだま705号名古屋行で43分、快速アクティで1時間36分、東京0701発熱海行では1時間58分である。つまり有料特急では34分早くなったが、急行(快速)はほぼ同じ、各駅停車では21分と早くなっている。ただ、各駅停車は途中駅の停車時間が長いため単純には比較できない。(1964年の静岡行は小田原に15分停車する)
参考までに1964年10月当時の新幹線こだま103号東京0830発新大阪行は熱海着が0828、つまり58分。在来線特急より19分スピードアップしたのである。
次に私鉄を比較して見た。小田急小田原線の新宿〜小田原だが、1964年9月新宿0900発の特急は小田原に1004到着、つまり1時間4分。一方、急行では1時間20分かかっていた。
現在はと言うと0900発スーパー箱根5号で小田原着が0959で所要時間は59分、つまり5分しか早くなっていない。快速急行は新宿発0910で小田原着が1043、つまり1時間33分、こちらは13分遅くなってしまっている。
遅くなった理由は停車駅の数、1964年当時の急行停車駅は経堂、稲田登戸(後の向ヶ丘遊園前)、新原町田(後の町田)、相模厚木(後の厚木)、伊勢原、大秦野(後の秦野)、新松田と7駅のみ。しかし現在は10駅(代々木上原、登戸、新百合ヶ丘、相模大野、海老名が増え、向ヶ丘遊園、伊勢原が減った)ことが要因かもしれない。
2つしかサンプルがないだけであまり云々はできないが、新幹線により大幅なスピードアップにはなっている一方で、その他は意外なことに60年以上経ってもあまり早くなっていないことがよく分かる。
今後は少し違う路線も研究調査してみたい。