杉の足場板というのは、内装用ではないので、それを床に使うためには、サネ加工などしなくてはならないし、問題は「乾燥」で、それに必要な充分な時間をとれなかったり、という事があるのだろう(と言っても人工乾燥機があるが・・)。それに、普通に作ってもそれなりに気密性・断熱性ともに昔の家より上がっているので、厚板と言えども結構つらい環境だ。でも、せっかく厚板を使ったのにあまりにも材料があばれるのはよくない(本当は数年経つと落着くのだが・・)。
ただ、「厚板を使う」という流れは、日本の家づくりの中で確かなものになってきた。
今では、各産地で、「床材としての厚板」が杉に限らずでてきている。金額では、厚さ第一に考えると、やはり「杉」が安い。当然「節あり」が。。
ローコスト住宅に杉の厚板を使おうと試みるも、金額が合わず断念。。
そもそも、まっとうな家をローコストで作ろうと思っても、工事費が坪あたり60万円を下回ると無理だという事を、しみじみ味わった。面積を減らすか、全て建材でやるしかない。
・・『ローコストというのはスタイルでも魔法でもなく、「挑戦」なのだ。「住む」「暮す」という事に「意志を持って挑む」ことで、「予算がないけど家を作りたい」だけの人は、決してやってはいけない。「坪○○万円の家」をうたい文句にしているハウスメーカーに頼む方がいい。「建築家のローコストデザイン住宅がいいな」なんて甘い考えでは絶対ムリ!!』・・
結局その家は、床は建材、壁はクロスとなった。ただ天井は針葉樹合板の表しとし予算がないのに抵抗する。「杉の床」にはならなかったが、なんとなく「そっけない」家が出来上った。
「杉の節あり」というやつは、「そっけない」。。ヒノキのように白くもなく、マツのようにねばり気も感じられず、広葉樹のように重厚感もない。艶っぽさもない。シャープさもない。でも・・こちらをなんらかの意味で緊張させる事もない。つまり「気楽」なのだ。その「気楽さ」は「厚さ」による所が大きい。
無意識の中で「厚さ」に対する安心感がある。やわらかくて、「キズ」も「ヘコミ」もつくけど、、「こいつはほっといても大丈夫」・・そう思う。それは「杉」だけの事ではなく、「厚い木の床」というのは安心感があるが、それを手に入れる現実に立つと、金額では「杉」が身近なのだ。
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杉の床の暮らし
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熱心な「杉板派」でも「自然素材の家派」でもありません。
自分の「すまい」についての思いを振り返り、まとめつつ・・