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堀部さんの話の続き・・・
高齢者の住まいをたまたま設計したことによって、若いお施主さんに対しても、ポジティブもネガティブも受け止めてくれるような器をつくろうって考えるようになった・・・
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私も、比較的、高齢者のいる家を設計している。
最初に設計したのは2世帯住宅(S-house)で、当然年配のご両親がいた。
割り切った箱を作り、内部を白で、ポン! とは作れなかった。。
そんな部屋に暮らすご両親を想像できなかった。
場所が地方だった事もあるのだけれど・・・。
また、内部もそうなのだが、外部、つまり外観も、あっけらかんとした白い箱を街の中に置く事も、なんだか違う気がした。
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高齢のご夫婦の家(K-house)を設計した時も、外壁の色を、私は「黒」で提案した。その意味はあるのだけど、施主には「NO」と言われ、そばにあったストーブの色を指して「これがいい」と言われた。それが、ブルー系グリーン。(?)
その時は、ご自分が好きな色ならそれでいい、と思ったのだけど、今思えば、「黒」では 「影」 になって強すぎたかもしれない。「ブルー系グリーン」は 「陰」 なのだ。そして、高齢者にとって、身近にあったものが、新しくなった家の手掛りとなる事は、とても安心できる事なんだと思う。
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色や形に対する考え方で、回りと対比させる事で、その場および付近を活気づける、という事はある。・・・確かにそれはある。
でも、「陰」を作る事で 「安定させる」 「調和させる」 「回復させる」という意味もある。
どちらかが「いい」という事ではない。
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バブルの頃、こうこうと周りを照らし続ける建築が多く現れた。「時代の気分」であった事は確かだ。
成金・・・? と言ってしまえばそれまでなのだけど・・・今見れば、気恥しいものが多かった。
今作られている建築は、20年後、どんなふうに見えるのだろうか。。。
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人は、年齢とともに、「いいと思うもの」「感じる力」「受け入れる力」が変わってくる。
「陰」は、そんな人の年齢とともにに「変わる力」によって、「薄く」から「濃く」に変わっていく。
その濃さは、その時々の「心地良さ」と比例するのかもしれない。
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そんな 陰 が、建築・・・特に 住宅 には 必要なのだと思う。。