「太陽を盗んだ男」映像証言NO1
すでに一度特集しているけれど、再見したらやはりめちゃめちゃ面白かったのでふたたび。
ご存じのように、この作品は今や「撮らずの巨匠」として有名になってしまった長谷川和彦監督作品。彼はデビュー作「青春の殺人者」、そしてこの「太陽を盗んだ男」の2本しか監督していない。
「青春の殺人者」(主演水谷豊、原田美枝子)をATG(解説がめんどくさいので検索してください)で撮っていきなりキネ旬ベストワン。くわえて、助監督時代に多くの映画人から愛されていたこともあって次がいきなりメジャー東宝の番線一本立て。いかに期待されていたかがわかる。主演は沢田研二と菅原文太。水谷豊と西田敏行がいい味を見せてからむ。豪華キャストである。
ただし、ネタは危ない。理科教師が原爆を自作し、あまつさえ……な話ですから。結果的に興行はふるわず、ソフトも廃盤になって長い間カルト扱いされることになった。
久しぶりに見て気づいたのは、作品全体がおおらかなユーモアで包まれていたことだ。脚本にレナード・シュレイダーがかんでいたことも、アメリカ映画の匂いがする要因だろうか。
皇居前のバスジャック(伊藤雄之助が最高)、プルトニウム収奪、原爆奪還といったアクションのつるべ打ちを、わくわくするようなリズムで撮りきった長谷川和彦の実力はやはり本物。
長谷川本人の特別出演(電車で新聞を広げています)、過激派の写真はなんと今をときめく黒沢清監督のもの(スタッフで参加していたようだ)。アナウンサー役はお決まりの林美雄。戸川京子と森達也の名もエンドロールにあったけれど確認できませんでした。
要するに長谷川がなにかとんでもない映画を撮っているということで、くせ者たちが集合したということだろう。その意味でも贅沢きわまりない作品だ。助監督は相米慎二。井上尭之の音楽も最高。カルメン・マキ&OZがこんなにフューチャーされてたっけとうれしくなる。
オープニングの沢田研二の出勤シーン(すげーおしゃれ)だけでも見ようと思ったら、やはり最後まで見ることになりました。堪能した。ぜひぜひぜひ!
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