事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

光る君へ 第47回「哀しくとも」

2024-12-13 | 大河ドラマ

第46回「刀伊の入寇」はこちら

「私が気づいていないとでも思っていた?」

倫子(黒木華)の逆襲。予告編では道長(柄本佑)に向かって話しているように見せて、実はまひろ(吉高由里子)に向けての直球の発言だったのだ。本妻って怖い。

ここに来て黒木華の存在感が増している。耐える女のように演じてきたのが伏線になっていて、みごとな回収っぷり。

思えばこの人は、蒼井優のそっくりさんかと思っていたら、あの「小さいおうち」(山田洋次)の壮絶なオチに仰天させられ、「リップヴァンウィンクルの花嫁」(岩井俊二)では流されてばかりだったヒロインの強靭さをみごとに演じ、「せかいのおきく」(阪本順治)ではタイトルにこめられた世界観を体現してくれていた。すごい女優だな。しかも巨匠に使われまくり。

男優で光ったのがロバートの秋山竜次。演じた藤原実資は、このドラマでは時代の冷静な観察者という設定であり、その重要な役に秋山を抜擢したのは慧眼だ。彼の芸風は異様なテンションとシュールなギャグにあるわけで、だから意表をついたキャスティングだったわけだけれど、ドラマにきっちりはまっていた。

もうひとり、これはネットでも評判のようだけれども矢部太郎もよかった。オンエア1回目で惨殺されたまひろの母(国仲涼子)を守れなかった屈託を、この回の「(都に)帰りたい」の13連発は泣かせた。彼が帰りたい以上に、まひろをチアラップしたいわけだ。

秋山にしても、矢部にしても、コメディアンとはリズム感がいいのが絶対条件だから、いい役者になれる素質は十分。小林信彦は、コメディアンが性格俳優になるのを森繫症候群と呼んで嘆じたが、このふたりはまだまだ芸人として突っ走ってくれそうなので安心か。

そして来週はいよいよ最終回。わたしのまわりはコロナやインフルの患者でいっぱいだが、少なくとも日曜日までは感染しないようにしよう。


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