事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

検察側の罪人ふたたび。

2018-09-27 | 邦画

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たとえばこの映画にはふたりの容疑者が登場する。大倉孝二がうまいのは当然としても、もうひとりの酒向芳(さこうよし)ってご存じですか。

思わず「驚異の新人!」と言いたくなるけれども芸歴は長い。殺人に淫してしまった過去へのコンプレックスとプライド。実は犯行を語りたくて仕方がないマザコン中年男を演じてまさに絶品。あの「んぱっ!」(観た人しかわからなくてすみません)は演技として正しい。この役は第一候補がキャンセルされたので彼に回ったのだとか。このチャンスは生かしてほしい。

他にも、事件を担当する刑事(谷田歩)、うだつのあがらない弁護士(八嶋智人)にいらだつ事務員兼妻(赤間麻里子)、上役にかみつく女性検事(黒澤はるか)など、いるところにはいるんだなあと感服。

もちろん、主要キャストもすばらしい。「関ヶ原」以降、原田作品のレギュラーになっていくであろう平岳大、ファンの反発を承知で二宮和也を翻弄する吉高由里子、いかにも崩れた感じでありながら、木村への傾倒を隠そうともしない松重豊など、いい感じだ。

そして二宮和也。容疑者への罵倒シーンにおいて「んぱっ!」を返したのはみごとな演出だと思ったらなんとアドリブ。自分がどう演じたかをすっかり忘れているというのめり込みようは、さすがジャニーズのなかで抜きん出た演技力を誇るだけのことはある。

が、やはりこの映画は木村拓哉のものだ。彼の検察官役といえばもちろん「HERO」があり、もちろんその前提がこの企画を成立させたのだろうとは思う。今回は中卒どころか、酔狂にも子連れの年上女(公式サイトにも女優名がない!)と結婚し、しかもその家庭が破綻しているという恋愛要素ゼロのストーリーで、しかもそれが破綻を見せていない。 

冗談まじりで原尞の沢崎を彼にやってほしいと昔リクエストしたけれども、あの役がすっかり似合う俳優になりおおせている。もちろんそれは、近年の事務所がらみのごたごたが彼を成長させたのかもしれず、あるいはまわりがそういう目で彼を見ることによるのかもしれない。

いいじゃん。スターってそういうものでしょ

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