第九回「栄一と桜田門外の変」はこちら。
先週は桜田門外の変という大事件をあつかったこともあり、渋沢家のホームドラマの方はほとんど進展しないままだった。
しかしよく考えると今回の公武合体の和宮の降嫁にしても千代の妊娠にしても、これらの展開はすべてホームドラマだとも言える。そのスケールが違うだけで。長七郎(満島真之介)が安藤対馬守の暗殺から脱ける修羅の道を選ぶのも、兄の説得によるものだったし。
和宮が京から江戸に向かう道として、なぜ東海道ではなくて中山道が選ばれたのかは想像がつく。川止めがないことは当然だろうけれども、浅田次郎の「一路」で描かれたように、人工的なほぼまっすぐな道(だから主人公の名前が一路だった)なので、不測の事態のリスクが小さかったんでしょう。時代小説は読んでおくものだと思いました。だったら有吉佐和子「和宮様御留」も読んどけって話ですけどそっちは(笑)。
さて栄一。百姓は鋤や鍬でもふりまわしてろと揶揄されるけれど、鋤や鍬こそが革命の本分であることが水戸の浪士たちはまだわかっていない。その意味では、故郷に帰っていらつきながらも畑を耕す栄一はまだ足が地についている。もっとも、心中穏やかではないわけで……革命前夜です。
若いものたちの血のたぎりに「困ったものだ」と思いつつも、何も言わない父親とて、幕府の理不尽さは誰よりも感じている。そのあたりを小林薫はしみじみと。
あれ?この徳川家茂役はどっかで見たことがあるぞ。おっとまたしても「ひよっこ」組の磯村勇斗じゃないですか。プロデューサーも「ひよっこ」の人だ。
磯村にしても要潤にしても、日本の芸能界は仮面ライダー(と乃木坂やAKB)がどんどん席巻しています。悪くない話です。この大河はジャニーズが強くない年なので(これからだって出てこないんじゃない?)、必然なのかな、とも。まあ、草彅剛を起用した段階であの事務所にケンカ売ってるようなものか。
第十一回「横濱焼き討ち計画」につづく。
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