特許庁が、世界185カ国が加盟する国連機関「世界知的所有権機関(WIPO)」(本部・ジュネーブ)と、特許の審査経過などの情報を共有するネットワーク構築に着手することが13日、分かった。平成26年にも加盟国の一部と試行に入る。現在は米、中、韓国などと個別に情報共有しているが、特許出願の統一ルールが議論される環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉などを控え、情報の「国境」をなくす対策を日本がリードする。
日本の特許庁が米国特許庁やWIPOなどに提案し、方針が決まった。
特許庁は今月から、2国間などで個別に審査情報の共有を始めているが、欧州や東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の特許庁との間では、審査の途中経過などを特許庁の審査官や企業関係者が閲覧できず、海外進出やビジネス展開の障壁になっていた。
今後、特許庁が整備ずみのネットワークに、WIPOが保有する加盟国の特許庁のネットワークをつなげる。26年にも始まる試行段階には、英国、オーストラリア、カナダの3国が参加する見込み。本格運用が始まれば、特設のホームページ上から、世界各国の審査経過を閲覧できるようになるという。
特許庁が審査情報の共有を急ぐ背景には、日本が下旬から交渉に参加するTPPや、欧州連合(EU)との貿易・投資を自由化する経済連携協定(EPA)交渉がある。
現在は、海外での特許出願は手続きが国ごとに異なるが、TPPやEPAの交渉では、特許出願の統一ルール確立が議論される見通し。統一ルールを実用化する上で、「審査情報の共有は不可欠」(知財専門家)で、ネットワーク化が急がれていた。
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