こんなことを言っても、今どき信じてもらえないでしょうが、
人は、図らずも、正しいことをするようにできている。
これは、性善説ということではなく、人間に限らない自然界の根本法則です。
水は、考えることなく
岩に当たれば砕け散り、
大きな石があれば、迂回するものです。
その水は、やがて大地に染み込み、
大海に溶け込みます。
大地に染み込んだ水は、地下水となり、
海に溶け込んだ水は、水蒸気となって雲になり、
循環していきます。
また障害となった固い岩は、砕け、
長い時をへて砂となります。
つまり、万物は流動するときに、
絶えず変化をしながら、「安定」へと向かっていきます。
これが有機的自然、無機的自然を問わず、
自然科学、社会科学を問わず、
万物に共通する自然法則です。
この自然法則のが貫かれるので、
人は図らずも正しいことをするようにできてるのです。
これが、行われない時というのは、
動くべきところで動かず、
流れる時に流れないときです。
障害があれば水は迂回します。
長く抵抗し続ければ、岩でもやがては砕けます。
ものごとを短期的にぶつかる瞬間だけを見れば、
悲観論や性悪説になりますが、
長期的に見れば自ずと楽観論や性善説となります。
そこに能力の有るなしとか、
経済力があるからとか、
時間があるかどうかも関係ありません。
価値観の問題でもありません。
ただ、自然界の道理なだけです。
そんなことをこの本は教えてくれます。
エイドリアン・べジャン『流れとかたち』紀伊国屋書店 2013年 定価 本体2,300円+税
エイドリアン・べジャン『流れといのち』紀伊国屋書店 2019年 定価 本体2,200円+税
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