細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男」とひとりのサラリーマンの死

2005年03月22日 | Weblog
●3月22日(火)13-00 <東芝試写室>
M-040 「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男」The Assassination of Richard Nixon (2004)米
監督・ニルス・ミュラー 主演・ショーン・ペン ★★★★
特に政治的な反動テロリストの暗殺未遂事件ではなく、アメリカン・ドリームの厚みに潰されたひとりの小心なサラリーマンの転落を描いている。地味だが知的なフィルム・ワークに好感が持てる。実際にあった事件をもとにデカプリオやアレキサンダー・ペイン監督たちが出資して映画化が実現したという、質素だがパワーのあるサスペンス。とくに実直な男が家庭や仕事に失敗して、人生崩壊するプロセスが、ショーン・ペンの柔軟な名演で悲壮感が光る。
乾いたカメラ・ワークも、低迷した60年代のアメリカを空虚な美しさで再現して見せる。傑作だ。