細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●「ぼくを葬る」ことの意味。

2006年02月20日 | Weblog
●2月20日(月)13-00 六本木<GAGA試写室>
M-023 「ぼくを葬る」Le Temps Qui Reste (2005) studio canal 仏
監督・フランソワ・オゾン 主演・メルヴィル・プポー ★★★★
人間の死を見つめるシリーズの「まぼろし」に次ぐオゾン監督の第2作は、若いカメラマンの死。
突然の末期ガン告知で、ゲイの彼は恋人と別れて、身の回りの整理を始める。
しかし家族とのトラブルの多かった彼は、とくに家族には知らないないで、祖母にだけ通知する。
理由は「お互いに余命が短いから」。
オゾンの演出は例によって淡々とクールで感情を爆発させない。
これだけストイックに美的に自分の短い生涯を整理できるものではないが、これは、あくまで監督の理想だろう。
「夕陽が沈むと必ず誰かが死ぬ。今日は俺の番だ」と言ったのは「悪の花園」のリチャード・ウィドマークだったが、この青年も自殺ではなく、自分を葬ることの美学にこだわる。
これはこれで見事な終焉。
感動の秀作である。