細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●「ナイロビの蜂」の日常的庭いじり。

2006年03月28日 | Weblog
●3月28日(火)13-00 六本木<GAGA試写室>
M-041 「ナイロビの蜂」The Constant Gardener (2005) FocusFilm 英国
監督・フェルナンド・メイレレス 主演・レイフ・ファインズ ★★★★☆
久しぶりに映画らしいスケールと人道的な危機感とテンションに満ちた傑作だ。
ジョン・ル・カレの原作だから、国際的な陰謀とサスペンスに満ちているが、「ロシア・ハウス」のようなラブ・ストーリーでもある。しかも怒りに満ちたメッセージ性は「ミュンヘン」に負けていない。
事なかれ主義の外交官レイフ・ファインズの妻、レイチェル・ワイズがアフリカのナイロビ奥地で死体で発見された。
ことの状況に不審を持った彼は、妻の殺害の真相を探る行動をとるが、身辺に危険が迫ってくる。
極貧のアフリカ難民に、期限切れの薬品や開発試験中の危険な薬剤を投与している大手医療会社の陰謀。
ル・カレの一流のストーリー・テリングが、どんどん我々の感覚引き回す。
「シティ・オブ・ゴッド」の鬼才メイレレスの鮮烈なタッチが、美しいロケーションの中に汚染していく人間たちの企業犯罪の残酷さをさらけ出して行く。
ひとり敢然と企業悪に挑むレイチェル・ワイズが、殺された妻を好演。
「コンスタント・ガーデナー」というタイトルは、グレアム・グリーンの「やさしいアメリカ人」を思わせる比喩がある。
この作品がアカデミー賞にノミネートされなかったのも、何か偏見と陰謀を感じさせる。